新型コロナウイルスは目下、季節性インフルエンザと同じ5類への緩和も議論されています。
いよいよニューノーマルの時代となりそうです。
思い起こせば、海外から日本へ入国する際の水際対策のため、政府指定のホテルに泊まった経験が2回ありました。
これも過去の思い出として風化しつつあります。
今回、そのホテル滞在での経験や感じたことを記します。
海外から帰国する経緯
欧州に海外赴任となってわずか3か月で赴任先国はロックダウンとなりました。
多少、それが緩んできたタイミングで、父の癌が発覚した時、そして一回忌と、日本に2度の一時帰国をしました。
父の死に目には立ち会えませんでした。
最後の瞬間はオンラインでつながっているなかで旅たちを見届ける結果で、思うことは沢山あります。
こうした個人的事情で一時帰国することになり、赴任国から羽田へのフライトで帰ってきた時の入国時の体験談です。
初回の帰国滞在、2020年7月
初回は浦安の某ホテル。
東京湾を一望でき、東京ディズニーランドから数キロの立地で、おそらく普段はディズニー目当ての家族やカップルが泊まるわりとリゾート感の漂うホテルです。
どこのホテルになるかはミステリーツアー的でした。
羽田に到着した乗客は入国時にコロナ検査を受けます。検査の結果、陰性と判明したら、それぞれ7、8名ほどのグループに分けられ待機します。やがてグループ毎に引率する担当者がやってきて、一緒に入国レーンを進み、荷物を受け取り、税関を通過し、そして羽田空港の出口で待機するマイクロバスに乗り込みます。
バスには運転手エリアと乗客エリアを分け隔てる透明のビニールがあり、まるで感染系映画のシーンのようでした。
目的地も言わず無言のままバスは湾岸高速を北上しました。
土曜日の夕方の湾岸道路を走る車は家族やらカップルやら、まるで普段の生活そのままです。隔離されるこちらとは別世界の距離を感じました。
やがて浦安地区で高速を降り、海に向かって走ります。この辺りから期待が膨らみました。
リゾート系ホテルに入った時からラッキー!と思うもつかの間、ホテル入口には医療スタッフが笑顔もなく待機し、並べた机にある資料にそって名前を確認し、滞在のしおり、弁当を手渡されます。そして1名ずつ、エレベータに乗って自分の部屋に移動です。
そんなスタートながら、ツイン部屋に1人。広々としていて、カーテンを開けるとそこにはビーチに東京湾、そして日本の面白いテレビ番組が映ります。3食お弁当が出てきて、決して悪い時間ではありませんでした。
なお、廊下に一歩たりとも出ることは許されていません。
時差で深夜に起きてしまったとき、こっそり廊下を出てみようと覗いてみると、はるか向こうに椅子を置いて見張りをしている番人さんと目が合いました。スキ無しと諦めます。
そんな3泊4日を過ごし、仕出し弁当は魚であったりから揚げであったり、時には吉野家の牛丼など、日本食の絶大なる美味さに震えながら食する時間が何よりの楽しみでした。
2回目の帰国滞在、2021年12月
2回目の検疫所宿泊先は羽田空港に隣接する某ホテルです。窓からは空港エリアのロータリーが間近にみえ、そして遠くにはスカイツリーが眺望できる部屋でした。
この回は既にMySOSというアプリで事前に情報登録をすることで入国がスムースとなっていました。
海外出発前に、接種した陰性証明、ワクチン接種記録、滞在先の情報などを入力しています。
羽田に到着後、まるでアップルストアの店員のような若くてバイリンガル(アジア系の人が多かったです)の人たちが到着した乗客のスマホ操作をサポートし、入力項目やら必要な設定をしてくれました。
その後も、コロナ検査などを経て、グループ毎に集団移動をして入国し、そしてバスに乗り込みます。人数確認が済むと出発。あっという間にホテルに到着しました。
政府は提携するホテルを棟ごと貸切っているので、ホテルレセプションではなく個別のブースで担当者がチェックインの受付をし、滞在のしおりとお弁当を渡してくれます。
この辺りは初回とまるで変わりません。
ただ2回目は隔離期間が5泊ほどの長期で、息がつまりました。
MySOSのアプリでは、毎日、ランダムに呼び出しがかかります。全て自動化されていて、自分の健康状態を入力したり、自分の顔を画面に映し出してAIが本人確認やら位置情報を取得したりしていました。
そんな監視付きの日々を過ごし、運動不足はベットで腹筋運動をすることで凌ぎながらの6日間でした。
良かったこと
1位;日本の美味しいお弁当が美味しかったこと
お弁当で出てきたサバの塩焼きは程よい塩加減だし、カリッと良い油で揚げられたチキンも香ばしく、柔らかくてだしの利いた玉子はふわふわ、それにしゃきしゃきの野菜たち。お弁当のレベルはさすが日本です。
2位;テレビ番組
日本のテレビ番組はお笑い芸人が多いなという感想を持ちながらも、おもしろいトークやら笑い転げることも。
3位;お風呂
ホテル拘束となることを知っていたので、毎回、大量の温泉の素を持っての検疫所合宿生活でした。1日4~5回ほどいろいろな名湯を楽しむお風呂は、シャワーのみの海外生活では体験できない贅沢なひとときでした。
辛かったこと
1位;お酒を持ち込めない
どうやら検疫所宿泊生活でお酒を飲んで酔っ払った人がいたようで、共通ルールとしては飲酒厳禁でした。なお、ネットで注文してホテルに取り寄せはできましたが、内容物は検査され、お酒を持ち込むことはできません。
2位;運動できない
やはり運動不足になることは辛いものです。スクワットや腹筋など、YOUTUBEのチャネルをみながらやる程度でした。
3位;アナウンス
毎回、食事は決まった時間にアナウンスがあります。部屋の外側の取っ手にお弁当がビニール袋でぶる下げられるので、その準備が整うと、「朝食の準備ができました。受け取ったら直ちにドアを閉じて・・・」といったアナウンス内容でした。なんとも隔離生活たる思いがしました。
感想
こうした検疫所宿泊の費用は公費で賄っています。食事代まで負担いただき感謝です。まあその分はきちんと医療関係者への寄付もしたので良いかと。。
そして感想としては、なにより、日本ではこうした運用はきっちりとしています。
海外の場合は運用がいい加減なことも多々あります。そもそも、未然防止に力を注ぐか、発生時に対処するかといったアプローチの考え方が違うこともあります。
例えば鉄道。
電車に乗るための改札などはないけれど、切符を持たずに乗車していると、通常料金の数倍をペナルティーとして徴収されるということもあります。人件費などを省力化しながらも、ペナルティーを科すことで拘束力を持たせるやり方など米国や欧州には見られました。
日本政府の水際対策が甘いという指摘も世間ではありましたが、とてもじゃありませんが、検疫所宿泊を逃れる方法などはありませんでした。
ようやく今は、ワクチン接種済の人は入国時に陰性証明やコロナ検査などが不要となるようルールも変わってきたようです。
誰もが自由に出入りして、コロナの心配もなくなる時代が待ち遠しいですね。
1 件のコメント:
ようやく海外も行き来できる日がきました。記事にあるコロナ禍での大変な思いは風化されないことを祈ります。
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