僕は49歳の時に経済的には不自由しない状況になりました。
不自由がないというのは、完全リタイアをして給与収入がなくなっても、資産所得やその他の収入で、贅沢三昧をしなければ、100歳までは経済的に行き詰まらない。と、収支シュミレーションでわかりました。
ですが当時、アーリーリタイアを見送って仕事を続けることにしました。
お金の問題ではないいろいろな事情です。
アーリーリタイアをした今は、その時の判断は間違いではないし、いまのリタイアをより満足させるうえでも、こうした見送る(リタイアが遅れる)ことが、結果的には良かったのだと思っています。
個人によって事情は千差万別ですが、今回、自分の判断内容について備忘録として綴ります。
それは「アーリーリタイアによるゲインとロス」を分析したことです。
アーリーリタイアによってロス(失う)もの
40代後半、「アーリーリタイアをすると何を失うか?」を考え、リストアップしました。
①給与収入や年金
リタイアによって給与収入は0になります。65歳の定年まで15年分の給与があるのでそれを得られないことは経済的には大きなロスです。
また年金も、厚生年金と企業年金の積み立てはなくなり国民年金となります。日本年金機構の窓口に出向き、今辞めたら年金がどうなるかの試算をしてもらいました。このままのペースで給与収入を得られないので10~15パーセントのダウンとなります。
会社の福利厚生としては、ポイント制を使った健康診断など、今後は自費での健康診断となります。万が一病気になっても、休職扱いである程度の給与収入は会社より得られる制度などもあります。
これら経済的なメリットをこの時点で失うのは、たとえ収支シュミレーションで経済的な破綻はないと算段があったとはいえ、心理的には小さくはありませんでした。
②会社を通した自己実現など
会社で働くメリットは、人的ネットワークを広げたり、社会経済の動きなども質の高い情報が入ったりすることです。
僕が起業してがんばったところで社会への影響力はゼロですが、大きな会社の規模や実績が社会に影響力を持ちます。なかには「大企業のなかの会社員は単なる歯車だ」と考える人もいますが、僕は「大きな船に同船している」と考えるようにはしていました。
そんな考えだったので、40代後半の時、会社がさまざまな構造改革やらも終えていよいよ打って出るという段階にいたので、そのまま会社を辞めて下船してしまっては、一生、後悔しかないと思いました。
自己実現というよりも、おもしろい体験ということが、辞めるには惜しいと思いました。
アーリーリタイアによってゲイン(得る)もの
一方、アーリーリタイアで時間ができたとして何をするか?
これまで記事に書いていますが、当時も「自分のやりたいこと100のリスト」があり、それをやるだろうという考えは持っていました。
①旅行やスポーツなど
まだまだ世界のあちこちに行きたいところがあります。海や山、国立公園や歴史に富む場所等々。僻地であったり、寒さや暑さの厳しいところもあります。旅もそうですしサーフィンなどのスポーツもまだ年齢を重ねてからもできます。今しかできない期限切れ間近のものは特に見当たりませんでした。
そして「やることを今手掛けず、先送りすることでも問題ない。」と思ったのです。
②投資や起業、知識拡大など
投資はサラリーマンをしながらもできます。新しい技術や知識の習得とかは確かに新鮮ですが、その時点の仕事を通じて得られる経験のほうがはるかに大きいと思えました。
起業をしたいという強い思いは30代の頃に持っていて、既に実施していたので、この点もリタイアすることを決定するような強い動機にはなりませんでした。
リタイアによるゲインとロスの結果
こうして、アーリーリタイアをすることで得られるもの(ゲイン)より失うもの(ロス)が大きいと認識し、アーリーリタイアを見送る判断となりました。
リタイアを見送れば経済的基盤をより大きく安全にできるというメリットは体感で20%程度の重要性で、80%は、仕事を辞めてしまっては企業人としてのゴールを前にコースアウトする後悔を避けたいというものです。
仕事の結果がどうであれ、後悔なく、また経済的にはプラスということがリタイアを見送る判断のポイントとなりました。
リタイアをしなかったが故のご褒美
こうしてアーリーリタイアを見送ってから7年が経ち、いまリタイアをしたところです。
この7年間を振り返ると、当時のゲインとロスの検討からは想定していなかった1つのご褒美がありました。
それは「自分の本心に従って仕事ができる」というものです。
会社で忖度をしないことです。
仕事は、どうしても会社や組織や上司の意向も気にし、忖度しがちです。
自分の考えや信念を押し殺して、自分が不利とならない立ち回りなどをするのはサラリーマンの悲しい性です。僕にもなかったわけではありません。
それが「経済的にはいつ辞めても構わない」となった7年間は、開き直りかもしれませんが、「失うものがない」ということで、組織の意向と違っても、正しいと思ったことは、忖度なく意見しました。
組織が成功するよう、自分が心底大事だと思うことは、それが不都合な情報でも妥協せずに主張します。
そこからか、不思議と会社人生での自分のキャリアが面白い方向に動きだしたと思います。
忖度する人生では見えなかった世界が見えたことが、リタイアを先延ばしで得られた想定外のメリットです。
終わりに
人それぞれ、いろいろなものを抱えてのリタイア人生なのだと思います。
僕にとってはリタイアのタイミングがこの判断で遅れたことにはなりますが、振り返ってみると、良かったのかもしれません。
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