以前、20代の息子から「おとう(お父さん)が僕の年齢で、人生で最も楽に稼ぎ、大富豪のような人生を過ごすとしたら、何を勉強し、どうするか?」と聞かれたことがあります。
今回、その質問にどう回答したかを紹介します。
まず、質問の前提条件を明確にしたうえで僕の回答を書きます。
前提1:最も楽に稼ぐとは
「楽に稼ぐ」という定義を世の中の一般的な仕事のなかで「年収が高い」としました。
「年収が高いがきつい」という「きつい」とか「楽」とか、好き嫌いは除外して考えます。
前提2:富豪の人生を作るとは
「富豪の人生」とは、「同じ金融資産でより豊かなサービスや贅沢を手に入れて過ごせる購買力」という基準にしました。
また、豊かさの感覚は「一般的な日本人が好む衣食住や趣味などができる環境」を前提としました。
山奥の自給自足生活が豊かだとか、毎日ミシュランクラス星3つでないとダメといった極端な贅沢も除外しています。
前提3:1年間の勉強時間とは
息子の質問なので、大学卒業程度の一般的な学力がある20代という前提です。
学習の対象は何でも良く「1年間で合計3000時間(10時間/日x300日/年)を使う」とします。
その勉強は、その後の人生で「最も楽に稼ぎ、富豪の人生を作るのに役立つもの」として選びました。
僕の回答
僕は、「世界で最も時間単価の高い労働市場で稼ぎ、世界で最も効率のよい消費市場で生活する”良いとこどり人生”を設計する。そのためにベストなジャンルの勉強を1年間みっちりやるよ」と回答しました。
具体的には、
①3000時間のうち半分を「プログラムと英語」の勉強にさく、
②アメリカ(シリコンバレー周辺)でプログラマーから20年間を戦略的に目いっぱい働く。その戦略は、
a) 最初の10年:プログラマーとして複数の言語(ディープラーニング等、AIに関連するものもいずれ覚える)を3年ぐらいずつ実践する。
b) その後の10年:2年ずつ5社のスタートアップ企業(ベンチャー起業)で給与&ストックオプションを貰いながら働く
③45歳でリタイアし、日本の地方大都市を転々と居住してそれぞれの良さを満喫して生活する(札幌、福岡、那覇など)し、安全性や医療面で安心できる海外の都市(バンコク)も生活拠点にするかも。
となりました。
それぞれ、その狙いを説明します。
プログラムの勉強
プログラムやIT技術は日夜進化しています。
必ずしも若さがハンディキャップにはならないのがそうした領域です。
今後、革新的なビジネスを生むような最新のブログラムやIT技術は、50代よりも20代の方が早く覚えられるという若いことの強味すら発揮できるジャンルです。
ですが、いつまでも通用するものではないので、アーリーリタイアを目指します。
英語の勉強
スペシャリストとして海外で働くときにでもなぜか「英会話がしゃべれないと世界で仕事できない」と先入観を持つ人がいます。
それも違います。
僕はいろいろな場面で日本人のIT技術者を海外に送り込むこともしてきましたが、送り込む人材の人選は、英会話力は10%程度で、90%はホワイトボードに書いて議論するなり、会話が難しければ英語メールを送り込んで伝えるなど「コミュニケーションを必死で取ろうとする姿勢」です。
現地責任者も、英会話だけができるが技術知識のない人材より、英語ができなくても中身がわかる人材を重宝しますしケアをして育てます。
そのそもIT技術者同士は「今日のドラマがおもしろかった」という英会話を交わすものでもなく、業界の専門用語を使って英語で会話します。技術用語が共通語であって、英語が共通語ではないとすら思います。
とても主観的ですが、僕が企業社会で見てきたさまざまなシーンの現実がこんなものなので、変に「TOEIC900点までは踏み出せない」とこだわり、いつまでも勉強ばかり続けているほうが、実践スタートも遅くなり、人生の時間ロスだけでなく機会損失となります。
スキルの収益効率性の歪みを利用する
シリコンバレーのプログラマーであれば円換算で1500~2000万の年収になることも驚くことはありません。
アメリカに限らず、ヨーロッパの主要国や北欧でもその平均年収はとても高いです。(OECDのデータをみれば日本が異常なのはわかります)
もし疑問なら、自分が持つビジネス資格の保持者が、海外の某都市で幾らの給与を貰っているか、ネットの求人サイト(英語ですが)をみれば検索できます。
世界からみると、もはや日本の企業が日本人を算定する人材価値は、相対的にはとても安くて驚くばかりです。同じスキルをもっていれば、海外では1.5倍増しの価値になります。それが、国内外の歪みなのです。
現地レベルで年収を得られれば、それだけで最初の10年でそこそこ資産形成はできます。
ただ、AIに関連する少し特殊なITスキルをつけるなり、その後のスタートアップ企業でSEブレインとなるよう引っ張られるにも、最初の10年でスキル獲得や人脈拡大は大事です。
スタートアップ企業が良い理由
富豪のような人生を作るとしたら、給与の積み上げによる資産形成では不十分で、何か飛び道具が必要です。
それがストックオプションです。
それを後半10年間、複数のスタートアップ企業で働いて狙います。
5%と言われる成功率(上場なり買収なり、企業のストックオプションを高く買い取ってもられる状況になる確率)を目利きしながら、より可能性のありそうな5社あたりを次々経験します。
スタートアップのベンチャーなんて、ぱっと資金をつぎ込んで、一気に攻める事業計画になっているので、2年も働けば(大企業で10年単位の成長を狙うより)よっぽど多くのカードを人生で切ることができます。
そうすると結構な確率で、自分の持ち株分が大化けするかもしれません。
買収をきっかけに、アメリカのスタートアップ企業の社員が富豪のようになったケースは山ほどみてきています。そんな確率を狙うことは、宝くじで1億円が当たるよりはるかに高い確率であると言い切れます。
資産の消費方法
日本で最も豊かに暮らすには、生活上の利便性と物価の安さ(特に不動産価格など)が大きく左右します。
本当、日本ほど安く良いものが手に入る国は世界でも稀です。
より広くゴージャスな家に住みながら、東京や大阪などと同レベルで便利さを味わう。そのためには地方大都市がお得だと思っています。
バンコクだって、ものすごい数の日本食レストランもあり(味はピンキリですが)、日本語のメニューから日本語をしゃべるタイ人がオーダーを取ることもあります
現地駐在員もタイ語を使わず日本語で生活している世界もあります。
家政婦付きで掃除や料理も格安でやってもらいながら、タワーマンションのペントハウスに住んでも、実は日本の地方都市でややレベルの高い生活をするコストとそうは変わりません。
僕ならどうするか?
これはあくまでも主観的なゲーム感覚で子供とやりとりをしたことです。
ですが僕がいま「20代から人生をやり直して大富豪を狙え」と言われればこんな人生を歩むでしょう。「小金持ちを狙え」ならまた別の方法になりますが・・。
きっと「能力が高くなければそんな無理にきまっている」と言う人が出てくるとは思いますが、そこも先入観です。
実際に普通の大学生や新入社員でこうしたキャリアで歩んでいる人を、海外で沢山みてきました。特別のスキルや能力がもともとあったわけでもありませんし、生まれた時から超人でもありません。
今回の記事で伝えたいこと
今回の記事でお伝えしたいことは、
・同じスキルでも国内外で賃金格差があり、高い地域で労働をすれば日本で得るよりも大きな年収となります。
・いまもTOEICの勉強やビジネスの資格を取得中の若い人もいると思いますが、勉強や資格獲得はなにかの目的があって必要となってくる手段です。
・自分がどこで(場所)、いかに(職種)、どの程度の資産(目標)を増やすかといった「資産形成の概要図」を作れば、必要となる英語力や資格も明確になります。目的もなく資格ばかり取るマニアになる必要もありません。
・概要図といっても、場所x職種x目標の組み合わせを考えるにも、ビジネス知識や社会のからくりも必要ですし、実現性を問いだせば現場感や突破方法の知見も必要です。先輩や知り合いの経験者に相談するなども有効です。
・実際は概要図通りにコトは進みません。進むごとに出会いや縁があってチャンスが開けたり軌道修正もします。当初の概要図からはずれてくるでしょう。
・それでも信じるままに突き進めば、いつか振り返ると自分らしい道のりだった、となるはずです。
終わりに
僕が大学生のときに、このプチ体験をしました。
当時、時給2000円の肉体労働のバイトで貯めたお金で、夏休みに物価の安い新興国(メキシコやら)で大名旅行をしました。
大名旅行と呼んでいましたが、実際は、好きな観光地を訪れ、安ホテルに宿泊し、薄いステーキ3枚食べて、コロナビールやテキーラを飲む・・という大学生には大名のような生活です。
その費用は1日20ドル(2000円=1時間のバイト代)です。
「1時間が1日分」と、日本で頑張って貯め、現地で使うやり方です。
内外格差を使ったやり方としては同じで、これを「富豪人生を歩む」というテーマでビジネスレベルにグレードアップして考えたものです。
今回、突拍子もない話でしたが、固定観念は取り払い、広い視野で資産形成を考えると、おもしろい展開が思いつくかもしれません。
こうしたきっかけで、海外で挑戦する若い人がもっと増えるといいなと思っています。
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