以前「経営者と結婚したい」というアラフォー婚活女子に会いました。
その女性は、付き合いだした彼氏が経営者(自営)で、「デートで領収書を切られた」という不満を持っていました。
どうやら「自分の懐も痛めることなく領収書で接待扱い?」とか「本当は彼はお金に余裕がないのでは?」と思ったらしいのです。
「・・・・・・」(僕)
この時点でギャップが大きいと思いましたが、彼女の不満を紐解きながら、経営者希望ならば少なくても3重に脱皮(税金の仕組み・経営者の生活や視点・家計の価値観を理解)しなければ彼(経営者)を理解するのは難しい、という話しになりました。
もちろん、経営者側も、婚活女子の感性は理解すべき必要があります。
どちらが正しいとかではありませんが、少なからず視野を広げたり人生の処世術となるヒントもあるので、僕の考えを綴りたいと思います。
サラリーマンと経営者の経費の違い
経費処理には法的・税的なことが複雑に絡むので、大雑把にお話します。
サラリーマンの経費
サラリーマンの彼が「経費で落とす」とは、支払全額を会社に請求することです。
経費で落とすと、
デート代=全額会社負担=自己(彼氏の)負担なし、という構造になります。
彼の懐は一切、傷みません。
ただし、個人的な食事代やデート代を会社の経費として処理すると(そこに会社の利益と支出に関係性がないと)、それは「業務上横領罪」となります。
現実には、会社や上司が経費処理を緩く運用し、そういう使い方もアリとして追及しない実態も多々あります。
これは会社が判断するものであって、奢られた彼女が「横領罪だ」と言い切るのは、若干、自身の価値観や正義感を押し付けすぎかもしれません。
今回、法的問題は今回の論点ではないので、前置きはこれぐらいに、本題に入ります。
経営者の経費
経営者が「経費で落とす」というのは少し状況が違います。
サラリーマンの彼には自己負担がありませんでしたが、経営者の彼は、大雑把には、経費の8割程度が自己負担です。残り2割は、後から節税として戻ってくる(払わなくて済む)となります。
*会社の「課税所得の見込額」から領収書を切った金額の全額が減り、その残金(課税所得の確定額)に所得税や住民税がかかるので、減る金額は払うべき税金が減った(デート代で使った額の2割程度)でデート代100%が減ったわけではありません。
*所得税率は利益で異なる(200万の儲けで5%で4000万なら45%引かれる)ので8割自己負担(2割節税)かは条件で異なります。住民税は居住地で変わりますし、消費税等も複雑ゆえ考慮していません。
それでも領収書で処理するのは「自分の懐を傷めない」か?
さて、デート代で領収書による支払の2割は節税になっている彼に「自己負担は8割だけど、2割は会社のお金でしょ!自分の懐は痛んでいないじゃない!」となるのでしょうか?
これを言ってしまうと経営者(*)の彼は、2つの点でがっかりします。
1つは、そもそもサラリーマンと違って、自分が100%稼いだお金だという点です。彼は「2割は会社のお金というけど、その会社のお金も自分が稼いだものだけど~」となるでしょう。
もう1つは、「たかが2割の節税」と言うと、そもそも稼ぐことに注ぐ彼の努力を過小評価するように聞こえますし、また、2割の利益の大変さを理解しない(経営の大変さがわからない)と思われます。
こうなると経営者の彼は「ないな」という感情になるかもしれません。
ここは「ちゃんと領収書貰った?」ぐらいに対処し、彼の裏にある努力をきちんと評価したり節税もしっかりやりなさいよ、という反応を「心から」できる方が望ましいです。
もちろん、その選択は婚活女子次第です。
大事なことは「税金の仕組み」や「会社とは」を多少とも理解することで、経営者希望の婚活をするなら他の女子にない差別化になりますし、何よりも経営者のことをよく理解して上手く婚活が進むための第1の脱皮ポイントです。
*個人事業主と100%所有権をもつ法人経営者(誰も社員を雇わない)を前提にしています
*個人事業主には「自分の給与」という概念がありません
*法人経営者が利益を個人給与で受け、領収書を切る方法もあります、所得税か法人税かの比較ですしここでは横におきます。
経費で処理されて「大切に扱われていない気がする」
さて、問題はそこではなく「大事なプライベートのデートを領収書で処理された」という感情かもしれません。
具体的には仕事とプライベートを一緒にされて「私」として扱われていない。私とのデートは接待なのか?といった感情論です。
そこで大切なのは「経営者の生活」や「経営者の視点」を理解できているかで、第2の脱皮ポイントです。
経営者の生活とは
経営者は自宅で仕事をすることで、家賃、インターネット、通話料、電気代、車両代なども仕事として使った相当分を按分し経費として計上します。
つまり、生活そのもので仕事とプライベートは混在しますし、家族での食費や旅行代金なども、基本、経費で処理できるところは経費にする人が世の中には圧倒的に多いです。
「デート代を経費にできるのか?」「家族旅行を経費にできるか」は会計士が判断する領域で、ここでの議論でもありません。
少なからず経営者と生活するうえで、「公私が混ざる」を受け入れないと生活の居心地が悪いものになるだけです。
経営者の視点
彼女からみると「私とのデートを経費で処理された」となりますが、彼の経営者としての目線ではその見え方が変わります。
彼の選択は「自分が頑張って稼いだ利益を、①国の税金として納めるか、②大切な人(彼女)に使うか?」というものであって、「彼女とのデートを経費で処理するか自腹にするか」という選択ではありません。
どうしても「経費で扱わないで」と主張を通したいならば、彼とは考え方が異なるので、それぞれ自己負担(割り勘)にして、彼は自分の負担分を領収書にし、彼女は満足のいくよう自己負担にする、という解もあるかもしれません。
「とやかくいわず全額自己負担にして愛情を見せて」というのがあるとしたら、愛情表現という二人の問題なので、なんとも申し上げられません。
「経営者の生活」や「経営者の視点」を理解できていることが大事で、それが第2の脱皮ポイントです。その結果、合う、合わないは、また別モノです。
もちろん、自分で勉強しなくても、こうした疑問を感じた時に彼とフランクに話せるようなコミュニケーションも大事です。
彼に直接、「なぜ領収書なの」とかを聞いても良いかもしれません。
ただ、経営者にとって領収書を切るからといってお金に困っているということではありません。お金に困っていたり、ビジネスがうまくいってるかどうかは、また別の方法で探らなければいけません。
経営者の家庭でよくある節税(家計の価値観)
最後に脱皮すべきポイントは「家計の価値観」です。
一般に、経営がうまくいって利益がある会社では、奥さんが取締役となり給与や賞与等を受け取るように処理をしている人がほとんどです。
もし、彼氏と結婚をして経営者の奥さんになったとして、こうした社員登録をして自分がお金を受け取ることを賛成するか?
受け取ったお金を「家計の足しにして子供にも何か買ってあげよう等々」と思うか?
もし答えが「YES」ならば、「デート代は経費で落として欲しくないが結婚したら経費で自分に給与を払って欲しいし、それで家計に足しにしたい」という考えの間に矛盾があります。
自分の知識不足で感情的になったり、矛盾に気が付かないよりは、矛盾にも気づいたうえでデートに限っては「接待っぽくしないで特別にして」という主張をして折り合いをつけるのもアリです。あるいはみえないところで領収書をもらうなり、方法を探ることが大事です。
終わりに
今回、経営者希望という婚活女子にとって、税金の仕組み・経営者の生活や視点・家計の価値観税など、知識や視点を持つことが大事ということを話しました。
そうすれば経営者の彼氏からしたら「わかってくれるパートナー」と信頼されます。
こうした婚活話題は「大きなお世話だ」というジャンルかもしれません。
その婚活女子の悩みという視点で経営者側に足を置いた形になりましたが、僕が言いたいのは、相手の立場を理解するよう婚活女子はなるべく知識をつけたり経営者の視点も理解することと、彼氏も彼女の感覚を理解して、配慮するのが良い、ということです。
婚活にも、こうして二人がそれぞれ視野が広がるきっかけもあります。
まあ、そんな婚活女子がその後どうなったかは聞いていませんが、幸せにしているなら嬉しいです。
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