これまでの10か月のあいだに、①ポイントカード、②確定申告書、③物品売買契約書、④団体の会員登録、そして⑤海外旅行での出入国カードで、職業を記載しました。
その職業欄、何も考えずに記載すると大変なことになります。
職業欄を書かせる利用目的を理解したうえで、それに即した正しい内容を書かないと、ヒヤッとする事態にもなりかねません。
今回は、少しばかりひゃっとした出入国カードの記載での注意点を綴ります。
職業欄に職業を記載する心構え
時々「無職と書くのはニートっぽくてヤダ」と、適当な職業を書くというのを聞きます。
職業を書かせる相手側にはそれなりの理由があるので、自分の主観や気分で書くのはとても危険です。
今回の①~⑤のなかでもっとも緩いのはポイントカード(お店の利用者としで無料登録するもの)です。
それぐらいなら、無職が嫌というならば、僕ならば「さすらいのダンサー」とか「お笑い芸人見習い中」とか書いちゃうかもしれません。
ですがクレジットカードのように審査が伴うものでは、実際には就いていない職業をかくと虚偽の申告となり問題です。
無職と書いても大丈夫なもの
リタイア後の確定申告で、職業欄に「無職」と書きました。
無職と書いても、実際に、収入や所得、費用を個別にきちんと記載申告するので、無職が仇にはなりません。
ただし、事業税の対象となるような確定申告の場合は、職業で税率が定められているので、厳密に書いた方が良いです。
無職と書くのが望ましくないもの
物品売買契約(僕の場合は金のジュエリーを売却した)では、「無職」とは書かずに「自営」と書きました。
金の買取では「犯罪による収益の移転防止に関する法律」もあり、なにかと身元不明だと怪しまれ、面倒なことになります。
札束であれば、泥棒がそれを強奪しても、紙幣の番号で使用がわかってしまいます。
ですが金の場合はそういった追跡ができないのをいいことに、不当に入手した換金性の高い金を使って金銭を得る犯罪もあります。
無職と書くと、何かと疑わしい取引に介在してるのではと、真っ先に調査対象になります。
そこで僕は「自営業」という括りにしました。
実際、不動産や株式投資等々などをやっているので、自営ということで差し支えないとのことでした。
まあ金額が少なければどうっていう心配はありませんが。
無職と書くと問題となるもの
海外旅行では、出入国カードに職業欄があります。
出入国カードとは、観光などの目的で特定の国に入国出国する際に提出すべき用紙やオンライン申請(ESTA)です。
そこに「無職」と書くのは危険です。
そのカードはパスポートとともに入国審査において確認されます。
入国審査は、そこに書かれた情報(滞在目的、期間、滞在先、職業等)を元に、その人物が入国することで
・安全上の脅威(テロ行為とか)はないか
・違法物の持ち込みはないか
・不法就労をしないか
を見ています。
怪しい場合、入国審査官が対面で質問し厳しくチェックします。
出入国カードに無職と書いたらどうなったか?
これまで会社員の時は、具体的な仕事の役割(例えば、CEO、Sales Director、Engineerなどの書き方があります)を使って出入国していました。
リタイア後、観光で何か国かまわったのですが、たまたま無職(None)と書いたところ、とんでもない目にあいました。
渡航目的を問い詰められる
アジア数か国を立て続けにまわりアメリカに入りました。
それゆえ「仕事もせずに短期間で複数国の出入りをしているのはなぜか?」と突っ込まれました。
正直に「将来、一時的な移住も考えているからその下見にきた」と口にしたので、入国審査官は「無職の男が移住をして不法労働をするのでは」と思ったのでしょう。
事細かく、リタイア前の仕事や給与、滞在先、期間、リタイア後の収入源、現地での行動予定といった不法労働まわりの疑いをもって聞いてきます。
安心させるための回答
審査官の懸念点はわかっているので、帰国便の予約チケットを見せ(更に先のフライトやホテルの予約が入っています)、出国しなければ後行程に差し支えることを伝えました。
もちろん、そもそも就労する意思も動機もないこともピンポイントで伝えます。
すぐに理解されたのでそのまま入国できましたが、こうしたトラブルになりやすいのが出入国の職業欄です。
なお、入国拒否となると履歴が残って、再入国が大変になったりします。
出入国のいろいろ
ちなみに入国で厳しいのは、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、中東の国などです。
女性の場合は、現地人との偽装結婚も問題になっているので(移民の手段として偽装結婚をして当該国の居住権利をえる)、女性の一人旅で「現地に彼氏がいる」なんていうと、疑われる要因となります。
また、露出が多くて派手なメイクをした若い女性が「無職」とでも書けば、現地で違法な大人ビジネスで居座ろうとしているのではと疑いもかけられたりもします。
ジャーナリストだとかライターも、政治的に不安定な国では入国時の厳重なチェックを受けて怪しまれます。
プロモーションビデオや映画撮影などのアート系の制作業務なども、現地での収入が発生するとみなされると「観光ビザでは滞在できない」「労働ビザをとれ」と入国拒否となることもありえます。
終わりに
職業欄。
「無職じゃ格好悪い」とか「どうせならカッコいいネーミングだ」とせずに、聞く側の利用目的に応じて、自分の実態の範囲で、不利のない記載をしたほうがいいですよ。
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