金融資産のうち「現預金」を幾ら確保するのが良いかは「重要な判断」です。
現預金が多すぎると投資に回すお金が減ってしまい投資効率が下がります。
その結果、配当金等の収入を最大化できない機会損失となります。
かといって現預金を投資に回し過ぎると、手元資金が少なくなり、リタイア生活で大きな出金が必要な時に現金を捻出できなくなります。
そんな経済効率と生活リスクのバランスをとれる「現預金の適正保有額」を算出するのが重要です。
兼ねてからこの問題に向き合ってきて、今ようやく、一定の方針を作りました。
今回、そんな問題児となりうる「現預金」をどう対処したかを報告します。
現預金を4区分にした
まず、当初、僕は現預金を3区分にしました。
それは、①生活費、②生活防衛資金、③ライフイベント準備金、という3つです。
働いている人にとっては一般的な区分だと思います。
ですが、僕にはどうしても腑に落ちないことがありました。
アーリーリタイアの生活は、サラリーマンの給与収入ベースの生活とは違って、とくに僕の場合は「資産を取り崩す日々」となっています。
サラリーマンの給与収入に該当する「資産所得」がありますが、それをもってしても月次収支が毎月赤字です。サラリーマンのように収支トントンあるいは貯蓄する状態とは違います。
このことから「④取り崩し資産準備金」を加えました。
これにより、①生活費、②生活防衛資金、③ライフイベント準備金、④取り崩し資産準備金という4区分としました。
これら各項目の適正額を定め、その総和が「現預金の適正保有額」とすることにしました。
生活費(月額生活費x3)
リタイア後に時間的余裕もでき、この半年は家計収支もしっかりみるようになりました。
収支から見えてきたのは、直近数か月はリタイア生活を充実させるために支出(自己投資)にブレーキをかけず、その結果、想定以上の支出が続いてかなりの赤字です。
でも、生活費としては直近数か月の収支を基準に3か月分としておけば、まず大丈夫だろうと思いました。
なお3か月とする理由は、支払決済のずれなどで対処できるようにするためです。
例えば、生活のなかで旅行の航空券やホテルなど、まとまって高額な費用が出るかもしれません。それをクレジットカードで手配すると、決済日と他の支出が重なるなどもありえます。
決済のずれが集中しても「生活費」の枠でしっかり支出できるよう、3か月の幅を持つということです。
生活防衛資金(月額生活費x6)
生活防衛資金とは、万が一に備えておく資金です。
仕事をしている人にとっては、病気やケガで入院したり、会社が倒産したり、そんな不慮の事態で収入が途切えても対処できるようにされますよね。
アーリーリタイア生活をする僕にとっては、こうした「給与の補填」という必要はありません。働かなくても資産所得は入り続けます。
また独身なので、家族の分を考慮する必要もない(子供も既に成人したので終了済)ということもあります。
働いていてれば「1年分」と思いますが、いまの僕の生活防衛資金は6か月あれば十分と判断しました。
主に、自分が病気をした時の備えというためです。
ちなみに医療費も、リタイアによって給与収入がないため優遇されます。
「高額医療制度」によって、医療費の自己負担額の上限額が3~5万円/月程度となります。
万が一病気になって、また市場経済の悪化というダブルパンチとなっても、僕の資産所得(配当金や利息、不動産収入など)は、比較的安全性の高い(元本保証に近い)資産運用の比率が多めです。
相場が大崩れでも影響を受けにくいと言えます。
こうした理由で、生活防衛資金は6か月分としました。
ライフイベント準備金(月額生活費x6)
これについても、子供はもう社会人でもあり、独身の僕は、家族的なライフイベントとして準備すべき項目も少なくなっています。
旅行は趣味なので、既に前述の「生活費」のなかに含まれています。
ライフイベントとして考慮するのは、車の関連、家電製品の買い替え、マンションの修繕、子供の結婚式等です。
このうち、向こう2年間に発生するものでおよそ計算すると、生活費6か月相当の金額があれば妥当だと思いました。
取り崩し資産準備金(月額生活費x20)
アーリーリタイア生活では100歳まで収支シュミレーションをしています。
いまは資産所得があり、その後、60歳からは終身年金と企業年金が加わります。65歳からは公的年金も加わり、その時点で今のペースの支出でも月次で黒字化します。
という構造なので、赤字期間(65歳まで)に取り崩していく資産の総額を算出し、そこから60歳で受取り開始する確定拠出年金を引いた額を準備することにしました。
つまり、
(資産の取崩し額)-(確定拠出年金)=取り崩し資産準備金
となります。
その金額は、ほぼ月額生活費の20か月分となりました。
現預金の適正保有総額(月額生活費x35か月)
以上のことで、各項目の月額生活費の月数を合算すると、
①生活費(3か月)
②生活防衛資金(6か月分)
③ライフイベント準備金(6か月)
④取り崩し資産準備金(20か月)
として、35か月分となりました。
現預金額の対応方針
月額生活費の35か月分を確保するとなると、現在の現預金(円建)の42%を残し、残る58%は何らかの運用に充てていけることになります。
その58%相当は「投資準備金」と呼び、まだしばらくは現金ポジションとして持ち続けます。
その使い道は、ハイリスクだがワクワクする投資に使うか、おもしろそうなことを事業化する資金に使うか、アーリーリタイアの生活をブースターさせる投資に使うか、今後の市場経済や自分の状況で判断していきます。
現預金の適正化後の資産配分(アセットアロケーション)
以上を踏まえて、新たな資産配分を作りました(下図)。
現在の金融資産の資産配分では円預金は27%となっているので、それが上記の35か月分を取り置けば、円預金の比率が11.5%程度になる予定です。
円預金15.5%が何らかの投資に回せる余力です。
こうした資産配分を持つことで安全に資産運用を維持継続できます。
なぜなら、投資信託や株式、外貨預金など、生活上の理由で急に換金することで(タイミング次第で)損失を被る、という損害も避けられます。
つまり、市場暴落が起こっても投資分をどうこう動かさずに置いておけるという、心理的・物理的な耐性ができました。
終わりに
現預金の適性保有額を求めることは、アーリーリタイア者には少し難解な条件を考慮しないといけません。
ですが、こうした面倒なことを対処すれば、「生活の安らぎ、投資への勇気、資産運用の効率向上」というプラス効果があります。
自分のライフスタイルに合った現金の適正保有額を把握するのは、大きな意味がありますね。
という「贅肉だらけの現預金」という問題児を対処した次第です。
資産全体も綺麗にシェイプアップされ、無駄なぜい肉があった問題児も健康体となりました。
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