リタイア前に、リタイア後の暮らし方について妄想を抱いていました。
それは「南の島のビーチテラスで、ビールを飲みながら、パソコン1つで資産運用をしたりブログ記事を書く」といった優雅なリタイア生活です。
そんな妄想が生まれた理由は、「長年の窮屈な会社員生活を終えるのなら、せっかくだから、対極の生活をしたい」といった中二病ならぬ「社卒病」(?)です。
現実のリタイア生活を始めると、「妄想(理想)vs現実的な制約」のバランスで、そんな理想が遠のいてしまいました。
今回、そんなリタイア生活の妄想に向け、実際に調べたり、検討した感想も含めて、いまのリタイア生活に落ち着いた経緯を記したいと思います。
地中海ビーチリゾートの妄想
アーリーリタイア直前まで欧州で働いていた時のこと、地中海のビーチリゾートに移住する案を調べていました。
欧州で人気のビーチリゾート移住先といえば、地中海では南スペイン(マジョルカ島を含む)、南フランス、マルタ島、ポルトガルなどです。
触発されたのが現地のテレビ番組です。
「ビーチリゾート近くに移住したい」というリタイア夫婦に、実際に物件を見せて「買いますか、買いませんか」という、日本では有吉ゼミでおなじみの企画と似た現地版のテレビ番組がありました。
芸能人相手ではなく、本当に普通の老夫婦が相手で、紹介される物件もリゾートに近くてそこそこ安かったりします。
「買います」と、叫んでしまいそうになります。
現実には移住VISAの問題がある
実際に現地に住むとなると、VISAの取得が問題となります。
会社に雇用されているならば、会社がスポンサーになってくれますが、リタイアするとそうはいきません。
VISAには幾つか種類がありますが、僕にとっては投資用VISAやリタイアメントVISAを取るのが現実的な方法となります。
しかし問題は、VISAの取得条件です。
欧州人にとっては移住の敷居が低くても、僕のような外国人が移住するとなると、不動産投資を一定額以上すること(最低でも4000万円以上*)等、かなり条件が厳しくなります。
*国によって違いますし、不動産投資だけではない他の諸条件も多々あります
実際にポルトガルを旅行してみた
とはいえ、少し現地もみてみようと、リタイア前(日本に帰国前)に3泊ほどの小旅行をポルトガルのリスボン中心にしてみました。
のどかな気候、美味しい料理やワイン、親切な国民性・・などとても気に入りました。
短期間なら住んでも構わないという気にはなりましたが、とても不動産投資をしてまで住むというのは考えられませんでした。
土地勘のない海外にその額を投資することも、それだけ投資する以上、かなり定常的に住むとなると、さすがに心細い生活となりそうです。
日本の生活、治安、医療、家族や友人等、といったことに距離を置いて現地でリタイア生活をしたとして、いったい何の得があるのか?と思いました。
旅行で十分だ、という結論です。
その後もめげずにアジア圏内のビーチリゾートを検討
日本に帰国して退職手続きなどを終えてから、しばらくアジア方面も見て周りました。
東南アジアは、出張先としては馴染みもあり、また「昭和の日本」という懐かしさのある街並みも多かったりとホッとします。欧州のような歴史のある文化や雰囲気は感じませんが、良い意味で身近に感じられます。
ビーチリゾートとして絞るとフィリピン(セブ島)、マレーシア(ランカウイとか)、タイ(パタヤやプーケット、サムイ島)、バリ島など検討しました。
VISAなどのアジア移住の実現性について
アジア諸国は、リタイアメントプログラムを整備されている国が多く、移住という意味では欧州よりもかなり現実的です。
実現性は高いのですが、迷いがあったのは「いますぐ移住すべきか?」というタイミングです。「年齢がいってからでも住めるのになぜいまか?」という問いです。
日本に帰国後、退職関連手続き、サラリーマン時代に放置ぎみだったものごと、親孝行や友人との再会など、やることも山積みで、順番としても、まずはそれらを先にしてからだろうと思いました。
こうして「南の島でパソコン1つで資産運用やブログを書いて過ごす」という夢のリタイア生活はお預けすることにしました。
リタイア妄想との戦いで気が付いた”しがらみ”
結局、僕がリタイア生活でプチ移住に踏み込めなかったのは、日本にある「しがらみ」です。
「しがらみ」といっても、それは自分の有形無形の貴重な財産で、簡単な気持ちで距離を置いたり放置できない大事なものごとです。
妄想を真剣に考えたことで、「在ることが当たり前」と思いがちな財産を認識できたのはプラスだったと思います。
もし勢いでプチ移住したら、きっと南の島にいながら「日本が恋しい~」となった気もします。
しばらくは手元にある大事なことを目いっぱい対応して、いずれ気持ちも満たされた段階で、東南アジアの南の島で、ほどほどの生活費で暮らせる居住体験を手に入れようと、しばし妄想に蓋をしました。