FIRE界隈の特に若年層の方が過小評価しがちなFIRE資金があります。
それは「公的年金」です。
確かに、「受給が60歳以降」というものでは、若い人からすると「すぐにあてにできないお金」と過小評価するのも理解できます。
そんな「先の話」である公的年金は、年齢を重ねるごとに、個人的にも、すごいFIRE資金だと認めざるを得ません。
そんな利点を知らずに過ごし、後になって「こんなすごいものだったのか」と気が付いても、手遅れとなるものもあります。
今日は、そんな公的年金について綴ることで、それを意識に留め、注意を払っていくキッカケにつながればと思っています。
長生きリスクが過小評価されているから
FIREを目指す皆さまに「リスクは何ですか?」と質問させて下さい。
おおかた「価格変動、為替変動、金利変動」などの投資のリスクを指摘されるのではないでしょうか?
それらは個々の金融商品への投資に付随するリスクで、商品単位の問題です。
それを掘り下げると「FIREを維持継続する」という本質に辿りつき、よって最大のリスクは「長生きリスク」だという結論に至ります。
長生きリスクが作り出す経済的問題は、長生きをすればするほど、生活費を払い続け、それに加えて医療費や介護費などもかさむ、というものです。
それは解約できない、いつまで続くかわからない、リスクでもあります。
こうした長生きリスクに最も対処できるのが「公的年金」です。
それゆえ、公的年金は終身年金であり、自分の命が続く限り受給資格のある収入として価値があるのです。
公的年金の経済的メリット
仮に年間160万円の年金を貰うとなったら、それは幾らの資金を4%ルールで運用するのと同じであるかを換算します。
すると、
160万円÷0.04=4,000万円
つまり、FIREの資産運用額換算で 4,000万円 を持って4%で運用しているのと同じとなります。
*平均年収500万円で約30年の厚生年金加入期間で届く金額なので、試算としては、大きめの数値を使っています。
申し上げたい点は、若くしてFIREをすればするほど、公的年金の給付額は少なくなるので、そのバランスを踏まえて、いつがリタイアに良いかを考えることも大事だという点です。
国民年金部分の回収率の高さ
また、国民年金は実際に掛金に対して10年で回収することが可能です。
試算時点では、
・納付額(月額)は16,590円
・20~60歳までの40年間の総納付額は、16,590円×12ヶ月×40年=7,963,200円
・65歳から受取年金額(2022年度の国民年金支給額)は77万7800円
・回収年月は、7,963,200円÷777,800円≒10.24年(123か月)実際に終身となるので、その後はずっと利益となります。
最終利益(利回り)は生きた年数に比例して高くなり、長生きリスクを凌駕し続ける「終身」という凄さです。
細かくはこちらの記事を参考にどうぞ。
年金の損益計算-早期リタイアで減少した年金、何歳で回収か試算した
セーフティネットとしての年金
少し視点をかえて、日本における資産の取り扱いについても、公的年金が有利であることをあげます。
それは、自己破産においても、この年金が差し押さえられる対象とはならないということです。
公的年金は「差押禁止財産」であり、自分の借金を返済できず、裁判所から財産の差し押さえを受けても、原則(*)差押えの対象にはなりません。
*年金を担保にした借入、また税金や保険料などは自己破産をしても支払い義務があります。
この点も以下の記事に記載しています。
自己破産の処理でも没収されない究極の資金源で不労所得とは
終わりに
以上の通り、年金という実感のない若年層ほど、FIREの話題のなかで公的年金に触れることが少なく見受けられ、今回、記事にしました。
「どうせ年金はもらえない、払い損だ』という見解を持っている方も、本当でしょうか?
どういった前提を置くのも個人の意思ですし、結果に責任を負うのも自分である以上、人の意見ではなく、きちんと調べ尽くして自分の意見として納得感を持つのが、何より大事ですね。
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