タイトルは「若いうちは貯蓄より経験を買って出ろ」という意図で使われる文言です。
これは正しそうであり、実は人生を踏み外すリスクある主張です。
リスクとは、このポジショントークによって「浪費を正当化する人」が出てくることです。
もちろん若いうちにいろいろと経験することは大事です。
ただ、どういった経験を買ってでるべきか、またどこまでお金を使うべきかは、人生のステージや設計次第で正解が変わります。
今日は、この主張について僕の見解をお話します。
学生は貯蓄より経験を積むべき
まず「若いうち」というのは、20代のサラリーマンとします。
というのは、10代なり20代そこそこの学生の人は別格で、「借金をしてでも経験を買え」と僕は言いたいです。
なぜなら、サラリーマン人生の第1歩を正しい方向に踏み出すには、学生時代により多くの「社会を知る」「自分を知る」という経験をすべきです。
経験を通して「おもしろい」とか「違うな」といった感覚を多くインプットし、そこから見渡せる「自分が興味関心のある領域」に向けて、社会人の第1歩を進むのです。
そのために、学生という人生ステージでは、貯蓄を気にせず経験にお金を使うべきです。
悪い習慣への浪費を正当化するリスク
ですが、一旦社会人となると、状況は変わります。
若いからといって貯蓄よりも経験ばかりにお金を使うことで、人生を無駄に過ごすことになる人が出てきます。
それは悪習への浪費を正当化する人です。
サラリーマンとして、自分が稼ぎ始めると、使い方も自分次第です。
お金をいろいろなことに使っている経験を通じ、使う先が2つに分類されることがわかるようになります。
お金の浪費となる支出(=悪い習慣)と有益な支出(=良い習慣)です。
良い習慣は、自分のスキル向上や資格を取得したり、興味があることをお試しするための(自分でその感覚を得るための)お金の使い方です。
問題になるのは、悪い習慣だとわかっていながら「若いうちこそ経験にお金を使うべき」と、その浪費を正当化することです。
ストレス解消のために収入に不釣り合いな贅沢をしたり、見栄のために身分不相応な体験に浪費したりなどで、これらは直ちに支出を辞めるべきです。
自分の感性に嘘をつき、そんな「悪い習慣への浪費を正当化」する癖ができると、無意味なことや無駄なことを積み重ねるだけの時間となり、人生で自分の「好きなこと」に出会えるチャンスを潰してしまいます。
浪費を正当化するのは人生での大きなリスクです。
若さを言い訳に浪費するリスク
また「若さという価値がある時こそお金を使うべきだ」も誤った主張です。
そういった「若い時こそお金を使え」という人は、今の浪費を正当化させるポジショントークだったりします。
だって、そもそもだれもが「今」が人生で最も若い時です。
こんな主張をする人は、いつも人生で最も若い「いま」こそお金を使うべきと、消費前倒しの人生を歩ませる主張になります。お金が無くなるまで。
前述の悪習と同じく危険なものです。
将来を大事にする人ならば「いまお金を使おう!」とは言いません。
そんな今ばかりを重視してお金を使っていたら、いずれ将来「勝負の時」が来ても「お金が無くて勝負に出られない」となるからです。
人間の本性とは「いまを重視する人ほどお金を使い、将来を重視する人ほどお金を貯める」であり、将来を思うフリをして「いまの若いうちにお金を使え」というのはかなり乱暴な主張です。
ダメ男が、惚れてくれている女性に「俺たちが楽しい時間を過ごせるようもっとお金を使ってよ」とささやくのと一緒です。
経験にお金を使うべきかの正誤を判断する方法
こうしたお金の使い方は「投資」に置き換えると明確になります。
投資で例えると、勝ち目のはっきりしない「投機」や「博打」に投資するのは正しくないと捉えるのと、本質的には一緒です。
投資では必ず「利回り」や「勝てる可能性」を追及しますよね。
ところが「経験」という議論になると、とたん「聖域化」して「若いうちはお金を使ってでも経験をすべき」と経験崇拝の乱暴な感情論になりがちです。
投資も人生経験への出費も同じです。
将来、自分にリターンとなりそうなものにお金を使っても、それを存分に回収できるほど人生は長くありません。
自分にリターンがあるもの、リターンがあると信じられるものになるべくお金を使うべきです。
たまたま当たると
こう考えるとポジショントークって明確ですね。
無駄な経験が結果的におもしろいビジネスにつながった成功者って、そのポジショントークで「無駄な経験は買ってでもしろ」と無責任なことを言うのです。
これは、宝くじがたまたま当たった人が、「宝くじを買い続ければいつか当たる」と言ってるようなものです。
こうしたポジショントークには気を付けましょう。
なるべく確信のある経験にこそ投資をしましょう。
今回の記事の終わりとして
今回は、
・学生ステージの間は「お金を使うことを気にせずに目いっぱい人生経験を積もう」
・サラリーマン20代では「何事も経験だ」という理由で悪い習慣に浪費するのはやめよう
・「若さという価値あるときにお金を使おう」との理由で今の支出を正当化するのはやめよう、
と申し上げました。
こうした「経験は買って出ろ」とか「若さゆえ支出せよ」というのはポジショントークです。
自分にとって都合のよい解釈をして浪費を正当化をすると、人生を踏み間違うことにつながります。
人生を生きていくうえで、だまされることなく、自分にプラスになる生き方を実践するには、こうしたポジショントークを理解する能力や、そうした社会構造、人間のサガを理解することが大事です。
さて、次回は「貯蓄より経験を買って出ろ」という主張の正誤について、人生設計をもって解きたいと思います。
人生設計とは「社会人としてどういった人生を送るか」の展望のことで、
①サラリーマンのまま定年まで会社で働く前提である、
②いずれ起業したり、副業を事業化してサラリーマンを辞める前提である
のどちらを軸足とするかで、お金と経験をどう扱うか、ポイントが違うからです。
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