サラリーマン人生で最も「忖度」が大きかった仕事は、企画部門での企画書作りの仕事でした。
リタイア生活を送りながら「自由にブログを書く」とは真逆の拷問たる日々です。
そして、企画書作りを取り巻く会社模様や人間模様はぶっとんでいます。
今でも会社員時代の仲間と飲んで盛り上がるネタの第1位でもあります。
今日はそんなサラリーマン時代の企画書物語の「雰囲気」をお伝えします。
企画畑サラリーマンの最重要クライアントは上司
僕は会社勤めのなかで10年程、企画系の仕事も兼ねていました。
企画とは、会社がより儲かり、株主や顧客が喜ぶことにつながる、そんな施策を企画し実行調整する部隊です。
じゃあ「誰に向かって仕事をするか?」
営業組織は顧客に向かって仕事しますが、企画組織も究極には顧客や株主に向かって仕事を・・・ではありません。
しがないサラリーマンだった僕の仕事は、自虐的にいえば「上司が涙して喜ぶパワポ1枚をいかに作るか」に尽きます。
営業マンは提案書を「クライアント向け」に作りますが、企画マンは「上司向け」に作るのです。
企画マンたる悲しい心得とは
僕は当初、自分の経歴を活かし、顧客視点で企画書を作りました。
ですが、顧客に喜ばれるような企画は、まるで上司には喜ばれません。
「もっと自分らしく企画をかけ」と言われます。
じゃあ自分らしくと、自分のアイデアを書きますがまたしても「やり直し」となります。
企画系サラリーマンの企画書作りは、顧客目線でも、自分軸でもダメです。
必要なのは、
・「上司の上司」が泣いて喜ぶ企画であり、
・他組織からみても非の打ちようがない企画
なのです。
具体的に話します。
上司の上司を喜ばせろ
企画系サラリーマンは「上司」ばかりみていてもダメです。
上司が気にするのは、その上司の上司たる人物の意向です。
よって僕にとっては「上司の上司が100点を出す企画書」を目指すことこそ、上司が喜ぶ企画書なのです。
こんな基本を理解し、上司の上司が好きなボキャブラリーブックを作り、関心事に絶えず注意を払い、日々の発言で使う用語、考え方、推しやマイブームをメモるのです。
そんな(今では無意味と思う)ことが「一流の企画書作り」のエッセンスで必要になってきます。
敵地より攻撃されないようにせよ
そして、もう1つ気を付けることがあります。
いくら上司の上司が気に入るといっても、敵を作ってはいけません。
企画書は1歳児のように独り歩きをします。
「企画書(案)」を関連部門に意見照会(事前の根回し)するうちに、それは独り歩き(情報漏洩)するからです。
それゆえ「企画書(案)」には特定部門の反発を買うような論理や表現は避けます。
万が一、反発を買うと企画を正式付議する段階で反対意見で潰されることになりかねません。
企画書は「八方美人な一歳児」だと思って大切に育てあげるのです。
高度な情報戦
時には、そんな「八方美人な一歳児」をあえて敵地に送り込むこともします。
可哀そうですが~。
企画内容は、時に、社内においてショッキングすぎることもあります。
それを、事前根回しなく付議すると、企画について揉めるだけでなく、特定部門の恨みまで買ってしまいます。
それゆえ、場合によってはいろいろな「裏の意図」をもって意見照会します。
ショックを和らげたり、ガス抜きをしたり、各部門が来るべき日に向け準備できるよう配慮するのです。
そんな意見照会の資料に「暗号」を入れておけば、どこからどう社内各方面に漏洩するかも把握できます。
例えば、資料の一部を「です・ます」ではなく「~だ。」と変えて複数バージョンを作り、部門毎に違うバージョンを配布すれば情報漏洩のルートも辿れます。
そんなこんなで、着々と企画を通し、自分の組織の影響力を高め、社内の動きも把握するのが「企画の仕事」です。
こんな世界に日々いると、本当、自分軸を失いがちで、忖度サラリーマンが出来上がります。
だから「良くしたい」という魂がないと生き抜けない
忖度サラリーマンによる、忖度バリバリな企画書とは、上司の上司の考えを推し量り、それをパワポに「美しく」落とすことです。
僕の場合、こうした面倒な推し量りや、組織の調整処理もいい加減ウンザリしていました。
解決策としてたどり着いたのが「本気でイケてる企画を作り、それを信じること」です。
たとえ上司の上司が喜ぶボキャブラリーを散りばめようが、「これが本当に会社に必要な企画案だ」を考えて作るのです。
会社に本当に必要となる企画を作っていくには、上司の反論(1000本ノックと言います)や会社の不都合も、ちょびっと立ち向かう覚悟が必要です。
忖度パワポとは違って、自分の主張をするために企画書は10倍は周辺情報も集め、論理武装することも必要になります。
そんな自分の思いも込めた企画書が、上司も納得し「早速、進めろ」とGOサインができると、かなりハッピーになれたりします。
終わりに
このように、企画書のパワポ1枚を巡って、会社の人間模様が交差します。
正直、とても面倒です。
そのときに、思考も放棄し、魂も売り、忖度サラリーマンになっていたら、今のリタイア生活での問題解決で使う思考や文章表現力すら身についていないと思います。(もともとが文章も下手で思考も浅い人間ですし)。
サラリーマン人生、「バカバカしい仕事」とか「搾取される」と言う人もいます。
でも僕は、案外、会社人生のこんな「面倒」なことでも、知らぬ間に得ているものが多々あるとは思います。
それが、リタイア後にも役立つこともあったりするのです。
忖度(そんたく)なる環境も、いずれ屈託(くったく)無きリタイア生活が訪れるので、組織や上司の板挟みでつらいサラリーマンの皆さま、暑い日々を無理なさらずに、そして夢と勇気をお持ちを!!
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