アーリーリタイアをしてからある過去の出来事が何度も頭をよぎるようになりました。
それは小学生の頃に体験した「大学生のお兄さんに助けられた話」です。
不思議なもので、サラリーマン時代はほとんど思い出しませんでしたが、リタイアをすると頻繁に思い出します。
今回、なぜリタイアをすると急に「過去の恩」に感謝し恩返ししたいと思うのかを綴ります。
魚釣りに行ってカギを無くす
その出来事は小学校4年~5年生の頃だったと思います。
当時、京都市内に住んでいた僕は、弟を連れて出町柳の賀茂川に自転車で魚釣りに出かけました。
ここは高野川と賀茂川が交わる場所です。
魚釣りに夢中になりすぎ、日が暮れてくるなか、そろそろ帰ろうと自転車に戻ると、カギをありません。
慌てて周囲を探せどカギは出てきませんでした。
時間ばかりがすぎ、不安がつのり、僕は箱型のカギを石で叩いて壊し自転車を動かしました。
ただ、タイヤを支えるスポークにカギがぶつかって「がちがちがちがち」と音をたて、とても帰れる状態ではありませんでした。
もうだめだと途方に暮れてしまいました。
大学生のお兄さんに助けてもらう
そんな僕たちをみてどこからか大学生のお兄さんが声をかけてくれました。
カギの状態をみてもらったのですが「これは無理そうだ」とのことです。
お兄さんは車輪のスポークを気遣いながら自転車を引いて、近くにあった自転車屋までもっていってくれました。
お兄さんが自転車屋にカギの交換を依頼すると、自転車屋は工具を使い、いとも簡単に新品のカギに交換してくれました。
「パチ、パチ」とカギの施錠の開け閉めを確認し、自転車を引き渡してくれました。
たしか750円払っていたことを記憶しています。
「すごい高い・・どうしよう」と思ったので覚えています。
恥ずかしながら、その後、お礼も言わず、動くようになった自転車を猛ダッシュで漕いで自宅に帰ってしまいました。
母から渡された1000円を持って出町柳にいくが・・
この出来事を母親に言うと「お礼もしないで失礼でしょ。これを持って返してきなさい」と1000円札を落とし玉袋にいれて渡してくれました。
翌日も翌日も、僕は賀茂川にいってお兄さんを探し回りましたが、当然、見つかりません。
結局、お礼も言えず、お金も返せずにいます。
なぜ思い出すか
この出来事はなぜかリタイアをしてから頻繁に思い出してしまいます。
その理由は「リタイア人生=借りを返す」という恩返しの段階だと捉えているからかもしれません。
サラリーマンの頃は将来に向けて意識ばかりいってましたが、リタイアすると、こうした過去の「恩」のようなものごとに敏感になっているからかもしれません。
これは50代リタイアゆえの傾向で、もし僕が若い頃にリタイアしていたら、こういった恩への思いを強く感じないかもしれません。
終わりに
実はリタイア後、京都旅行の機会があって、それこそ40年ぶりぐらいにその場所を歩いてみました。
すると、なんと当時の「自転車屋」がまだそこにありました。
油まみれだった自転車屋はいまはとても小奇麗な自転車屋になっていました。
「あの出来事は夢ではなかった」と改めて感じました。
あの日は、カギが治ってホッとするや否や、お腹もすいて、心細くて、弟もいて、早く帰らなければ・・と、お礼もきちんとせずにその場を猛ダッシュで帰ってしまったことを後悔しています。
当時の物価で750円とは大学生にとってはきっと負担も大きいはずですよね。
どこかで小学生が困っていれば、その時は僕が助け、自分の過去に受けた恩を清算したいと思いつつ、なかなかそのような場面にも出くわしません。
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1 件のコメント:
とても良い話ですね。自分も困っている人がいたら、自分のできる範囲で手助けしたい、と思いました。
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