退職金はリタイア生活には大きなプラスとなります。
ですが退職金の制度設計は企業の任意で、なんら義務化されたものではありません。
それゆえ企業格差があるのが実態です。
しかも退職金を構成する様々な制度(退職一時金、確定給付企業年金、企業型DC等)が複雑です。
僕自身、退職金を理解したのは辞める直前です。
そこで今回、いわゆる典型的な日系大手企業に長年勤務した僕が得た退職金をもとに、その制度や闇も含めた内容について綴ります。
退職金を受領する前提
まず、退職金を受ける前提として、
・上場企業で業種はIT
・休職や時短勤務なく34年間(うち半分+は管理職職能)で勤めた
・会社は企業型DCと企業年金基金など
・早期リタイアの割増制度も減額も適用なし
・退職金は毎年の給与(職能給や成果給)で「退職金積立額」として増えていたもので、その金額は給与明細に記載されていた
という前提です。
退職金の内訳構成
その結果、退職金は退社前の額面年収の2倍ちょっとでした。
そのうち7割を退職一時金として一括受領し、その他は年金型で受給するようにしました。
ちなみに規約型企業年金は一括でも受給できましたが、退職課税額がわりと大きくなるので、10年間の年金型で分割受給することにしました。
10年分割によって年率1.5%による運用が上乗せされるので1%相当の退職金底上げになっています。
ほか、企業型確定拠出年金(企業型DC)は9%をしめますが、これは途中の海外勤務による積立運用の制限があり本来より少な目かもしれません。自己都合の早期リタイアによる減額制度
なお、僕の退職金は所定の年数(30年)を超えたため自己都合による退職ながら満額で貰うことができました。
ですが本来、自己都合による退職では「退職金積立額」に所定の係数がかけられて減額されます。
それは勤務年数によって、70%、50%、10%といった段階的なカットがあるのです。
つまり、退職金は勤務期間中の年収や勤務年数によって差が出るだけでなく、勤務期間に大きく左右されます。
退職金制度の闇
こうした経験から僕が感じる「退職金制度の闇」を言及します。
それは、
・アーリーリタイア者に対して退職金制度はとても冷たい
・退職金制度が途中にデグレードしえる(後払いの要素が大きく従業員は不利)
・不必要な「働かない高齢者」を生み出す
ということです。
つまり、入社後から毎年自分の年収に応じた退職金積立額が蓄積されますが、FIREをするとなると、せっかくの積立額に係数がかけられ減額される、そんな脱退地獄がまっているということです。
しかも、退職金制度は長年の年月で会社側によって制度改変がされます。
ですがデグレードはあれどアップグレードはありません(僕の会社の場合)。
その結果、退職金を有利に受けるために「働かないおじさん」が出てきたりします。
こうした闇を生み出すのがいまの制度というものです。
若い人やFIRE者に優位な面もある
一方で、退職金制度は若い人やFIRE者に優位な面があります。
これは私見ですが、企業は後払いの一時金支給から、より企業型DCといった「会社と従業員が掛金を出したって資産運用によって退職年金を増やす」といった穴埋めを企業も期待したり、退職金積立額相当を現行給与に反映させ「高給」に見せることで優秀な人材を集めるなどです。
より「いま」の支給に、より「自己責任」に転換しています。
僕の会社でも2012年頃に企業型DCを取り込み、マッチング拠出として企業が掛金の一部を負担し、従業員がその投資運用をしています。
その結果、僕の場合は9%の比率でしかありませんが(活用した歴史も短い)、これが主流になっていく気もします。
終わりに
自分の退職金構成をみながら、少しばかり時代の変遷も、制度の闇も感じる次第ですが、今後、投資でFIREを目指す人には、必ずしも「退職金制度の衰退」というのは悪い話ではないかもしれません。
なにしろ、企業型DCもNISAも含め、投資についての知識を持つことで自分の退職金(あるいはそれ相当の給与)を投資拡大することができるからです。
会社任せで年金運用するより、自分が運用したほうが納得感もいきますからね。
ということで、
・企業型DCを利用している人は満額を掛けたほうが良い、
・退職金の良い会社を選ぶより、退職金相当が給与に上乗せされている高給な会社を選択するのも良い方法、
・退職金制度は入社時から辞める直前まで関心が湧かないがきちんと調べることが大事
といったアドバイスをお伝えしたく存じます。
0 件のコメント:
コメントを投稿