リタイア前は「資産を増やす」という目的で「株式・外貨建て」の投資比率を高くした配分でした。
リタイア後の今は、「お金を増やすより効果的に使う」に重点があるので、リタイア後の資産配分の正解も違ってきます。
正解は何かを解くには「リタイア生活での支出にあった資産運用状態であり、それでいて資産防衛になっている」という「攻防一体」の出来栄えが大事だと思います。
今回、その第一歩として純資産ベースでの資産構成を洗い出し、リタイア後の資産配分の適正さについて検討したことを綴ります。
リタイア後の資産構成の要件
資産構成は、一夜にして変わるのではなく、リタイア前から徐々に「リタイア後に合う(と感じる)資産配分」へシフトしてきたと思います。
それは直感に頼って手探りなる進め方だったので、今回あらためて、資産構成が持つべき重要な柱を「要件」として考え直しました。
リタイア後の資産構成として適切だとなるための要件は、僕の場合、
①インフレや金融リスク等への耐性があること、
②資産を取り崩すライフプランに連動すること
→資産タイプや通貨(円とか外貨とか)に必要な流動性が担保されていること、
③資産の最終処分も見据えて無理がないこと、
というものです。
ということで、実際の資産構成を把握分析し、要件に即して検討しました。
純資産ベースでの資産構成
まず、純資産ベースで検討します。なぜなら純資産が自分に帰属する純粋なる資産であり、相続財産でもあるからです。
それは金融資産(有価証券や現預金等)と不動産の総量で負債を引いたものです。
自分の純資産を求めるのは案外簡単です。
僕は金融資産での投資は「現物取引のみ、レバレッジをかけない」との方針なので実質的な金融資産額は「(金融資産の評価額)-(借入金=0)」なので簡単に把握できます。
不動産は借入金があるので、評価額から借入金を差し引いた実質価値を適用しました。
そんな合算の純資産ベースで比較すると、
【種別】:金融資産(58%):不動産(42%)
【通貨】:円建(65%):外貨建て(35%)
ということです。
なお月次定期分析では金融資産と海外不動産(いずれ中期的に売却予定)までを金融資産として、その資産推移を定点観測しています。例えばはこういった形です。
また、円建て資産には「投資信託を通じて海外資産に投じているS&Pやオルカンなど」も少し含まれています。これらは外貨建てではなく、円建x海外投資です。
資産構成の課題
直観的には、バランスとしては大きく外れていないとは思います。
健康年齢が向こう15年程度あるなかで、海外旅行やプチ海外移住(183日未満の年間海外滞在*「国内居住者」の税務ステータスを維持するため)が発生します。
単純には、年間支出の半分が外貨となる年も出ると思います。
そういった支出も意識して各比率をみます。
不動産の国内部分(29%)
国内不動産は要件③の「資産の最終処分」として位置づけています。
恐らく、15年経過後も、ずっとこのまま保有する前提です。
そもそもインフレの現在、不動産として持つことでインフレに強いだけでなく、借入金利は安く、またインフレで借入金の実質負担も減る一方です(貨幣価値がインフレで落ちるので)。
なので繰上げ返済したり売却して利確する意味をまるで見い出していません。
さらには、遺産相続では現預金より不動産が税制面で優位なので、この制度が将来変わる可能性はあるものの、制度に対しては「あるがまま」を受け入れ、ベターな状態ならよし(将来を云々考えすぎない)としています。
不動産の海外部分(13%)
海外不動産は要件②のライフプランに合致します。
まず、この資産は5年以降で売却することを出口とした前提です。
当該国では5年間は保有することで不動産譲渡税の軽減となるのを基準にしています。
その間に「賃貸収入」で得られる現地通貨や、「売却時の譲渡益」で得られる現地通貨で、現地生活の資金に充てていく予定です。
円からの持ち込みが無く、また万が一、当該国から日本への送金規制があってもダメージを受けずに済むためのリスクヘッジです。
それが13%は悪くはない比率と思われます。
外貨建て金融資産(22%)
外貨建ての金融資産も、要件②のライフプランに合致し、向こう15年、あちこち海外旅行等の費用やクロスボーダーで使途するにも、良い割合だと思います。
このクラスの資産は円建で持つよりリスク低く増加するので(僕は現地通貨で使う前提なので)、慌てて円転する必要もありません。
この資産22%は、海外旅行や短期滞在で使う原資としてもほど良いとも思えます。
円建て金融資産(36%)
これはやはり日本国内での生活を軸にする自分にとっては大事なクラスです。
ただ、デメリットは、資産運用で得られる収益率は低い(特に安全運用をする自分の場合)とのことで、多すぎても資産収益性が減ってしまいます。
なので、ほど良く、年齢が進むごとにこの金融資産クラスが増えて、老齢期は、国内不動産とこの円建金融資産だけで構成されるぐらいにシフトしていくのが良いのかもしれません。
問題点とリスク
こうしたクラス別の検討を踏まえると、やはり問題点は明確です。
①外国不動産がやや大きすぎる
そもそも投資にリスクがあるので、どうなるかは1年後、判明してきます。
また、資産運用中に年間5%、5年間を運用すると、この額の125%が現地生活での原資となります。
持て余すかもしれませんし、日本送金に制限が出る可能性もゼロではない(途中に法制度の変更も含め)など、やや気になる点はあります。
②金融資産が安全運用に寄り過ぎている
そのそも金融資産(円建+外貨)の7割が元本保証ですが、不動産を含む全体からすると、もっとリスクを取っても良いと思えます。
③円建資産の活用幅を見極める
今後、この資産構成が自然に変わります。
60歳、65歳と個人年金や公的年金等の収入も出てくるなかで、円建資産が膨らむ傾向にあります。
円建資産は収益性が低いですし、それゆえ生活防衛資金を除く他の部分は、もっと活用方法を考えてもよいと思えます。
いまいちど、生活防衛上の必要額を見極めないと、安全性と収益性のバランスが取れているかピンとこないのです。
終わりに
まずはハイレベルでの分析をしてみました。
こうした分散投資の最適な解をリタイア生活から解くのはかなり難しいと感じます。
金融資産だけをとりだせば、資産配分の効率的フロンティアとしての資産配分の王道もあるでしょう。
王道でいけば、例えば25%ずつ、国内株、外国株、国内債券、外国債券等といった具合です。
でもそれは安全に増やすためのものであって、今後の15年なりの生活を踏まえた「理想な構成」というものではありません。
結局、自分にとってお金とは何かといった関わり(生活の原資であり心理的な安心感の拠り所)を、その経過する年齢ごとで解いていく変数とも思えます。
なのでこの分析をしながら思ったことは、
リタイア後の資産構成には普遍的な「正解」はなく、「自分で資産上の課題を設定し、それが上手に解けている資産構成なら正解」
と、世の中の答え探しをするより、自分の課題感を負荷としてかけて検証することで良いのかもしれません。
↓
0 件のコメント:
コメントを投稿