円安が進む懸念の1つのが「日本が買いたたかれる」という問題です。
不動産については、2022年の不動産投資額(3兆8440億円)に占める海外投資家の不動産取得額が1.3兆円と、当時で前年比12%増加(*CBRE調査結果)していたので、そこから2年経過して更に円安進行の今、もっと大きいと想像しています。
もはや「安い国」の日本は、東京都内の物件も日本人には「手の届かない資産」になる一方で海外投資家が高額物件をいとも簡単に買う構造になっています。
そんな円安の懸念を綴ります。
誰がなぜ日本の不動産を買うか
東京オリンピックの開催が決定したあたりから都心は特に中国人の不動産購入が活発でした。
今では、不動産事業の関係者に聞くところ、中国や香港、シンガポール、オーストラリア以外に、インドネシア、マレーシア、フィリピンなどの新興国の富裕層等にも広く買われ、「日本の不動産のバーゲンセール」が露呈しています。
何が問題かといえば日本の不動産購入の規制の弱さです。
アジア近隣諸国は外国人による不動産購入を規制する国が沢山あります。
自国経済の実力水準以上に不動産価格が高騰すると現地住人に暮らしにくい「いびつ」な状態となるのを防ぐためです。
そのためアジアの不動産投資は
・外国人は土地が買えない(区分だけ)
・区分も外国人所有権(数パーセント上乗せ)での取引制限
があったり、ヨーロッパでは
・外国人が購入できるのは特定金額以上
・エリア限定で購入可能
といった規制もあります。
ですが日本はまるで緩く、外国人による不動産購入規制もなければ、ビザの種類や永住権の有無にかかわらず土地や建物を自由に購入できます。
それを自身の居住用やセカンドハウス、不動産投資(賃貸)にしています。
そんな非対称(日本は海外投資家に甘い)が、どうも腑に落ちません。
東京や観光地の物件は中国人とコンペが多い
最近、オリンピック選手村の跡地として分譲された某エリアもその比率が高いことがエリアに行くと実感できます。
外国人にとって割安ゆえ、以前、沖縄の物件をみていても仲介担当者から「今朝、中国人の方が物件をリモートビューイング*しました」といった連絡をもらった夜には購入されてしまいました。
*担当者がスマホで室内外を案内しそれをリモートから中国人の方が見て判断し現金購入する。
まるで購買力が違うと思う経験が多々あります。
彼らも事情はあって「脱出」なる問題(資産的な意味あいで)があったりしたのでしょう。*あまり詳しくは書きませんが資産国外持ち出しが簡単ではない国でもやり方(仮想通貨とか香港トランジットなど)がいろいろあるものです・・。
将来像がどうなるか
これは個人的な妄想なので許していただきたいのですが、それこそ日本の賃貸物件も実は「外国人」がオーナーで、そんな外国人所有物件を日本人が借りる構造が顕著な地域もでてくるかもしれません。
彼らからすると香港や本土も利回りが1~2%というなか、東京でさえ4~5%となることに魅力を感じ資産を投じるのは不思議ではありません。
日本だって30年前、ニューヨークのロックフェラーセンターを某企業が買収し「アメリカの象徴(魂)を日本に買われた」と反発され、日本はやり過ぎだとは僕も感じていました。
今はその逆で、外国資本が日本を買いあさり、日本国は規制を設けていない、野放し状態です。
終わりに
円安が進む度、弱い日本が露呈され、なんともやるせない気もしています。
内需での国内経済回復も限界があり、自分たちの購買力は世界水準から相対的に大きく衰退してます。
自国の都心一等地の物件すら自国民が買っていないもどかしさもあります。
インバウンドに助けられると言っても、東京都内の外国人旅行者は若いカップルも多くみられ「物価の安い日本旅行しよう!」といった感覚で来ているのかもしれません。
もちろん日本の文化を知ってもらい、フアンができるのは良いことですが、魅力があってくるなら嬉しい一方、安さ先行で国が買われたり来日されたりという「安くて良いぞ日本は!」の後退国認定が世界に広まると悲しくなります。
そんな悲しい思いにさせるのが直近の円安です。
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