亡くなった父親は株式投資が好きでした。
資産のほとんどが株式でその相続手続きが何かと面倒なことがありました。
結果的には2つの失敗があって、それは①父親がオンライン証券会社で株式運用をしていなかったこと、②相続代表者として老齢の母親を定めたこと、です。
今日はそんな相続の話をします。
なお、相続はなんら揉めることはなく、どちらかといえば手続きについての面倒さといった内容です。
相続人への名義変更が必要
父親が生前に取引していたのは対面型の証券会社です。
よって、まずは相続額の確定のため、父親が死亡したことを証券会社に伝え保有していた上場株全ての残高証明書を発行してもらいました。
そのあたりは有人対応なのでわりと手続きは楽でした。
しかし、「亡くなった人の名義のまま株を売却できない」というルールゆえ、相続人の代表者に株を移管して売却現金化をしたうえで、代表者から各相続人に分配することが必要です。
ですが相続人への名義変更と株式移管は「同じ証券会社内のみ」といった手続き制限があるので、よって僕の所有するオンライン証券口座に移管することができません。
そこで、遺産分割協議書に記述し、母親を相続代表者とし、父親が使っていた対面式の証券会社に母親名義の口座を開設し、母親名義にて株式移管をしたわけです。
これが問題の出発点でした。
相続人としての売却対応
実行的には、僕が株式の相場をみながら売却判断をしていたわけですが、対面式であることと名義が母親であることで面倒なことが起こります。
僕がメールにて証券会社の担当者に売却指示として「銘柄Aを指値〇〇〇円で売却をお願いします」といった内容を送信します。
ですがその指示は契約者本人からのものではないので証券会社は指示を受けれません。
そこで、母親本人が対面(電話)で僕が書いた文章を読みあげて売却指示を出すといった段取りになります。
老齢の母親に連絡をとり、僕の指示の通り証券会社に電話をして指示を伝えるのもかなり骨が折れます。
なにしろ母親にとっては「ちんぷんかんぷんの文章」をわざわざ電話で伝えるわけでもあります。
しかも株式市場が開いている時間しか証券会社の営業対応はないので、オンライン証券のように予め指値を設定することもできません。
僕がアーリーリタイアをして平日日中に動けたから良かったものの、もし仕事をしていたらとてもこのような対応はできるものではありませんでした。
失敗からの反省点
以上のことからどうあるべきだったかを反省すると、
①対面式証券口座であったこと、
②母親を代表者にしたこと、
の2つが失敗でした。
ベストなのは、
①父親の生前にオンライン証券口座に株式を移管しておくこと、
②相続人代表者は老齢で株式取引に不慣れな母ではなく僕が代表者となること、
です。
こうすれば、僕がオンライン証券口座で移管手続きを受け任意のタイミングで売却することができました。
遺産相続での心理
以上が手続き面での失敗談でしたが、ちなみに遺産相続は心理面では思うところがありました。
父は50代で起業をし、その会社が70代の時に倒産し、また、自己破産もしたわけです。
そこからなんだかんだ遺産相続をするだけ資産を作ったのはまずは驚きでした。
ただ「お金を沢山持つことが成功だ」といった考え方が根強く、株式投資やビジネスで資産が増えるたび人に傲慢な態度を取ったりしてとても手に負えませんでした。
それゆえ父の相続をしたくない僕は相続放棄を申し出ましたが、相続人には未成年者もいて僕だけ相続放棄をする手続きが面倒になる(家裁対応になる)との税理士の指摘で、僕も相続に入ることになってしまいました。
ちなみに僕の友人では先祖代々から引き継いだ土地を相続し、それをしっかり守らなければと、経済性は度外視して、相続した土地を守っている人もいます。
相続するもの(お金でも土地でも)と相続人の心理は、切っても切り離せないものだと感じます。
終わりに
そんな経緯で、僕は相続金を自分の資産額に計上せず、母親への親孝行資金として別途運用しています。
ワンマンで母親に負担をかけ続けた父に代わって僕が父に代わる母親孝行の代行中です。
そんな父でしたが、今となっては母親に孝行できるだけのお金を残したことには感謝し、昔ほど父に対して嫌な思いは抱かず許せるようにはなりました・・。。
お金は自分が生きている間は「生活の糧」でありまた「精神安定の源泉」です。
自分が死んだとしてもお金の教養がある相続人が受け継げば、自分がやれないものごとや思いを継ぐこともできたりし、お金が生き続ける面があります。
僕がDie With Zeroとしてお金を使い切らなくても良いと最近になって思っている理由の1つは、ここからきています。