海外勤務やワーホリで稼いだ外貨を経済効率の良い処理(円転等)をする方法が幾つかあります。
すぐに円転する必要がない場合、基本、外貨のまましばらく運用して利息を稼ぎつつ、有利な為替レートとなった時点で円転するのが効率的です。
その時に、
・海外の銀行に資金を保持し、WISEやRevolut等を使って円転・日本の銀行口座(円口座)に送金する方法、
・海外の銀行から日本の銀行の外貨建て口座に資金を外貨のまま送金保有し、売り時を待つ方法、
があります。
今日はその後者(日本の銀行の外貨建て口座で外貨を持つ)についてのメリット・デメリット等を綴ります。
これは税務アドバイスではなく経験談ですので必要に応じ専門家の支援を受けてください。
日本の銀行へ送金について
まず日本の銀行に送金するうえで、日本の銀行に該当外貨を預金できるか口座のサポート状況と、現地の銀行から送金可能(送金規制等をクリアーできる)であることが必須です。
ちなみにSBI新生銀行だと13通貨をサポートしています。
*米ドル、ユーロ、豪ドル、NZドル、英ポンド、カナダドル、香港ドル、シンガポールドル等々
僕の場合はドル、ポンドを海外側から送金しています。
日本の銀行には外貨入金キャンペーン等もあり他行(海外でも日本でも)より入金されると送金手数料程度のキャッシュが貰えるものもあります。
なお、現地通貨のまま日本の銀行に送金しても、この時点では為替差益が発生していないので税金(いわゆる為替差益にかかる雑所得)はかかりません。
日本の銀行での外貨運用
日本の銀行に着金した外貨はそのまま該当の外貨建て口座の普通預金に入金されます。
メリット
①柔軟な定期の運用
金融機関にもよりますが、概ね、1カ月から数年程度の外貨建て定期預金にオンラインで預金実行することが可能です。
②高い金利
全般に、外貨建て定期預金(普通も)の金利設定はかなり高く、また銀行によって会員ステータス(預金額に応じて会員レベルが設定されるもの)が高い場合に上乗せ金利があったりします。
③現地通貨のまま運用継続
定期預金にしても満期がくるとそのままの現地通貨で外貨建て普通口座に戻るので、その時点で為替動向次第で円転したり改めて定期を組み直したりできます。
④海外でのショッピング等で使える
日本の銀行が発行する海外で使えるデビットカードを利用すれば、海外でのショッピングなどで日本の外貨建て銀行口座から直接、その現地通貨相当が引き落とされます(手数料がかからないものが多い)。
⑤海外で現地通貨を引き出せる
同様に、そのデビットカードを使って現地に行った際に提携するATMで現地通貨を引き出せます(ただし手数料等がかかるのが一般)。
⑥外貨の証券口座にて運用できる
銀行が提携している証券会社の口座に外貨を移し、そのまま外貨で金融商品を購入して運用できることもあります。(ただし、金融商品の種類によっては購入時点で為替損益が確定され納税対象となる場合があるので要注意です)。
以上、経済的・運用的なメリットは比較的大きいといえます。
デメリット
①預金保護の対象外
外貨建て預金は、日本の金融機関が提供する預金保護(1000万円まで保護するプログラム等)の適用外になるので金融機関が破綻した時の毀損リスクがあります。
②途中解約不可
外貨建て定期預金は途中解約が不可であるため満期まで原則持つことが必要です。
③外貨(現金)を日本で引き出せない
外貨を現金として引き出すことは僕の知る限り可能な銀行はありません(外貨を現金のまま預け入れることが可能な銀行としてはSMBC信託プレスティアなどがあります)。
円転時の税金
日本の銀行で外貨預金をする場合は、その利息は源泉税が自動的に引かれるので納税を気にする必要はありません。
ですが、日本の銀行で外貨から円貨に円転すると、そこで発生する為替差益は雑所得として確定申告が必要となる場合があります。
*いわゆる「年収2,000万円以下の給与所得者で、外貨預金の為替差益を含めた給与所得以外の所得が年間20万円以下の場合、確定申告は不要」という標準的な確定申告の要件です。
円転時の取得原価の考え方
なお、為替差益というのは売却益(売却額-取得額)となるわけですが、海外での勤務やワーホリ中のアルバイトで稼いだ外貨の取得原価をどう税務的に処理するかで難しい点があります。
「海外在住時に労働で稼いだから取得原価はない」と誤解する方がいますが、実はその外貨を稼いだ時点での為替レートが「取得原価」となります。
つまりは外貨を得たときの給与支給日です。(運用で稼いだ場合はその配当金などを得た日)。
その為替レートに基づき、売却して得た円(手数料等を除く実質的な受取額)からその取得原価を引いた金額に課税がされます。
ただ、現実には給与として取得した外貨を使って現地で生活消費しているので、帰国時に残っている外貨が「いつ時点に稼いだものか」を明確に定めるガイドラインはなく、そこ(外貨の取得日)が議論のポイントになるので税理士や税務当局に要相談です。
最低でも筋が通るロジックで計算し、また一度その「ロジック」をもって確定申告をしたら、別の年度での確定申告においても同じロジックで計算することが必要です。
自分なりの節税方法を考えて「ロジック」を税務署に相談するのも方法です。
*例えば現地で給与を毎月x36回もらったとして、残った外貨を一番最後(最近)の現地給与支給日のレートに当てはめて計算し、その月の支給分相当を使ったら、またその前の給与支給日の為替レートというように「外貨残高を最後の支給日から順番に当てはめる」をするなどです。
なお、為替差益で得られる利益が確定申告の要件にかからない(20万円以下)よう逆算して計画的に処理をしたり、雑所得同士の所得内通算で他の赤字を相殺して節税する方法などもあります。
円転させずに日本や海外で使う方法
上記のように、外貨を取得した時点の為替レートがたまたま円高の時であると、円安の今は実行的な為替差益が多くなってしまいます。
そうなると収める税額が増えてしまいます。
その場合の税金回避の方法として、
①海外の銀行に預金を置いたままその海外の銀行が発行するデビットカードを使って日本で買い物をする、
→ショッピング時点での為替レートに基づき現地口座から引落される(手数料等はかかる)
②日本の銀行の外貨預金(普通)に預金を置き、その銀行が発行するデビットカードを使って海外(その外貨を使える国)で買い物をする、
→ショッピング時点での為替レートに基づき現地口座から引落される(手数料等はかからない場合が多い)
をすることで、円転せずに(為替差益の税所得を回避し)処理する方法もあります。
終わりに
以上の通り、外貨を現地から日本の銀行に送金することで定期預金などで利息を得ながら為替レートの好転を待って処分することができます。
ちなみに今、アメリカドルは1か月でも3.5%以上、1年だと4.5%~5.3%程度の金利を提示している金融機関もあります。
日本の銀行での外貨建て預金の利息が高いので、銀行で元本保証(預金保護はありませんが)を得ながらこの高い年率で運用したり、FX口座でスワップポイントを得るなどで外貨を増やしながら処理タイミングを待つのも簡単で有効な方法です。(ほかに金融商品を外貨建てで購入し運用する方法もありますがやや面倒)。
僕は基本、為替レートは周期があるとの循環型経済を信じる派なので、じっくりタイミングを待つ長期運用資産の一部にしています。
また外貨建て資産を運用することで金融資産に占める国際分散比率を高めるようにしています。
【アーリーリタイア1年後の資産状況】エリア/通貨別の分散投資を進める嬉しく悲しい理由
今はワーホリで海外滞在しながら許可された範囲で労働をして外貨を稼ぐなど、面白い方法もありますし、資産を作りながら海外経験を積むこともかなり有効だと思います。
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