完全FIREをして資産を取り崩す日々を送りだした時に、3つの心理的ストレスともいえる「代償」がありました。
代償と感じたことは、
①お金を増やしたいという「未練を捨てる」、
②資産を取り崩す「不安と対峙する」、
③資産計画で想定外が起こる「恐怖を克服する」
といったことです。
お金を貯蓄するサラリーマン生活が、お金を取り崩す完全リタイア生活へ変わるので、人によって強度は違えど自然な感覚かもしれません。
今日はそんな完全FIREでの資産取り崩しに伴う3つの代償の中身と解消方法を振り返ります。
50代完全FIREなる心理的負荷の実情
FIRE時のお金の不安は、年代に関わらず「将来にわたって経済的に安定して送れるか」といったFIRE後の生活見通しの見晴らしというようなもの(明確性)や、それが計画通りに進むかの確率的なもの(確実性)からくると思います。
なので30代や40代前半での完全リタイアは、余生が長い分、年金やら経済状況がどうなっていくか、20~30年先の見通しはより不透明ですし不確実なので、比例して不安は大きくなるでしょう。
一方で僕のような50代完全リタイアだと、年金受給額もほぼ確定され、向こう10~15年の展望はかなり明確で確実(振れ幅が少ない)といえます。
そんな年代によって心理的不安の大きさも違うでしょうし、50代での完全リタイアは若年層より相対的にはストレスは少ないとも思います(そもそも無理な計画なり計画そのものの問題は論外ですが)。
そんな前提ではありますが、3つの心理的代償について個々に綴ります。
お金を増やす未練を捨てる
現役時代は働きながら資産所得も得るのでお金が増える日々ですし、更にいえば、資産の増え方は資産が大きいほど加速します。
なので増える勢いに自らブレーキを踏んで断ち切る(=完全リタイアする)ことには「本当にいいのか?」といった未練を少し感じました。
ですが未練が簡単に解消されたのは、定年まで10年程度というアーリーリタイアで得られる時間も少なく、これ以上働いて残り時間を犠牲にできないという自由時間への渇望で「時間の価値>お金」で説き伏せられるものでした。
ただ、リタイア後に時間ができると、それをまた「お金を増やそう」と投資に割り当てていました。お金を増やしたい後遺症かもしれませんが、それも前述と同様、完全リタイアで得たせっかくの自由時間をまたお金を増やすために時間を犠牲にするのは本末転倒だと感じました。
以降、投資をやめ手間のかからない資産運用に切り替えました。
資産を取り崩す不安と対峙する
こうしてお金を増やしたい未練も捨て、資産を取り崩す日々にがっつり入ります。
すると資産を取り崩す不安をより感じます。
もちろんFIREの収支シュミレーションを何度もして見通しは立てています。
それもシビアな展望(生活費は多めに見積もり資産所得は小さめに見積もる)をして想定外があっても耐えられる基盤となるよう鉄壁な資産計画として「取り崩し曲線」も「楽観・中立・悲観」の3つの線にして振れ幅を取ってリスクも十分加味しています。
ただ、支出でいけば社会保険や税金その他生活費で変わるし、収入は資産運用のポートフォリオや経済状況で変わりますし、実際にどうなるかやらないとわかりません。
ということで、不安とは、時間が経過して実績値が見えてこないとなんともいえないという「不透明で不確実な見通し」から来るものでした。
さらに言えば、「想定通り収入がなかったら・・、想定外の支出があったら・・」といったシュミレーションの下ぶれ警戒感も不安に入ります。
それゆえ、リタイア後は定期的に徹底的に資産管理や収支管理をしました。
資産額やお金の流れを把握し、リタイア前の「取り崩し曲線の振れ幅」のどこに実績着が着地するかを追いかけ、「透明化し確実化させる」ことで不安も解消されました。
結局、実績値で不安を中和させる感じで、時間経過と共に解消しました。
想定外が起こる恐怖を克服する
こうして不安が解消される一方で、幸運にも資産は減らず横ばいで推移していました。
でも現実の生活は、収入より支出が大きく、現預金は取り崩しているわけです。
それが横ばい推移というからくりは、「株高や円安」といった経済状況が作った「評価額増加」というマジックでしかありません。
じわじわと現預金が減っていく静かな変化への警戒心はぬぐえませんし、資産評価額がいつ崩れるかもわかりません。
そんな評価額頼みということは、裏を返せば、想定外となるような経済悪化が起こると最悪は破綻してしまうのではといった不安というか「恐怖」も感じます。
その恐怖を克服した方法が3つあり、それは①資産毀損のシュミレーション、②生活費のゆとり費削減余地、③最悪時のサバイバルプラン、といったものでした。
①資産毀損のシュミレーション
リタイア後の資産運用の配分(アセットアロケーション)もほぼ完成したので、その時点で「経済的な恐慌があったら、最悪、どの程度資産が毀損するか」といった各アセットごとの毀損率をもとに、全体として資産がどの程度目減りするか、最悪事態を試算しました。②生活費のゆとり費を削減余地
資産が毀損するのは経済状況が招くもので、個人の力では避けようがない不可抗力なるものです。
そんな外的要因でどうしようもない時は、自分で生活費を削る自助努力の範囲がどこまで可能かが重要で、それを試算してみました。
支出管理を「生活に欠かせないコスト(基礎生活費)」と「セカンドライフをゆとり持って生活するためのコスト(ゆとり費)」にわけて管理し、その「”ゆとり費相当”はいざのときに削れる」との削減余地をはっきりさせたことです。
③サバイバルプラン
さらに、それでも立ち行かない場合は、3重目なる対策として「サバイバルプラン」があります。
田舎生活やら海外プチ移住やらでライフスタイルをかえてコストを落とす方法などです。
これら3重対策とその実行覚悟があれば、どうにでも生きていけるとは思っています。
終わりに
以上が完全FIREに伴って起こる「未練、不安、恐怖」という3つのストレス(心理的代償)で、1年半も過ぎれば解消されましたし、それどころか資産の取り崩し曲線を上振れする結果、資産が横ばいとなったのが現実なる結果でした。
やはり人間、もともとの期待値に対して結果が上回れば(例え横ばいで増えなくても)嬉しいものです。
下ぶれをしたとしても、資産が毀損する最悪値も覚悟していますし、そうなる前に生活費の削減余力も、サバイバルプランもあるという状況です。
こうした未練・不安・恐怖の解消から、いまは「お金を正しく使う」という出口戦略に集中するようになってきています。
ですが出口戦略で怖いのは「強制退場」で、新手のAIを使ったSNSなりすまし詐欺も怖いですが、それより「いただき女子りりちゃん」なる手口をみれば人間は怖いと、びくびくしてしまいます。
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