景気が良かったバブル期ならば「楽にFIREできる」と考える人が多いと思います。
当時は今より物価は安く、平均給与は425万円程度(今は460万円)と恵まれています。
また高い経済成長に乗ってお金を増やしたり、投資のチャンスだって豊富にあるといった点もいかにもFIRE向きです。
そんなバブル期ならバラ色でFIREも楽だろうと誤解する人に、僕が入社した「バブル後期は絶対にFIRE達成は無理だ」と思う3つの理由を綴ります。
結論をいえば、①過酷労働すぎてヘタる、②副業や株式投資は難しい、③定年が早い(FIREを目指す期間が短い)、という点です。
それぞれ綴ります。
過酷労働なるバブル期
バブル期(1990年)の平均給与は425万円で、いま(2022年)の458万円と比較してもさほど差がありません。*国税庁データ
それでいて当時は物価だって安いわけで「ラクして貯蓄ができて羨ましい」と思う方もいるでしょう。
ですがそれは誤解で職場環境が今とは大違いです。
まず残業の多さです。
僕の場合は残業時間が月70~100時間ほどでしたが、本当に忙しい人だと150時間ぐらいはしていました。
これは会社によるかもしれませんが「サービス残業は当たり前」といった常識(いまとなっては非常識)ゆえ残業代をつけられるのは実態の半分までいきませんでした。
平均給与が高い理由も今の時代より遥かに実態残業が多いわけで、そもそもラクに効率よく稼げる環境ではありません。
さらには精神面の圧が酷いものでした。
入社後に「地獄の特訓」と称した活動をする企業も多々あって今の常識からすると驚きです。
当時もニュースで紹介されていましたが、社員の精神力や団結力を高める目的で
・渋谷駅の前で一列にならび大声で歌を歌ったり社訓を発せろと言われる
・社内研修で全員の前で自分の弱みを大声で発表させられる(あるいは教官が各個人の弱みをぼろぼろに言う)
・チームごとに山道を数十キロ走らされて一番遅いチームに罰が与えられる
・自衛隊に短期入隊させられて訓練を受けさせられる
・・・なんていうのを聞いたものです。
特訓が終わると泣き出す人や乗り越えてお互い気が狂ったかのように抱き合ったりと異常な世界です。
もちろんこれは極端な例でテレビも取り上げていたものですが、大なり小なり、そんな精神論主体の職場環境があったといえます。
今でこそ世の中は「飲み会は参加しない」なんて軽くいえますが、当時はそれは「即刻人間失格」と烙印を押されるのです。
いまのホワイト企業といえど当時は世の中の風潮が「超ブラック企業」にさせていたわけです
今の感覚では「もう地獄。すぐにFIREしたい」と思うはずですが、当時はこれが「当たり前」で逃げ出すことすら考えなかったものです。
ということで、効率よく稼げてFIREに有利なんていう時代ではありませんでした。
副業や株式投資は無理
過酷な仕事で疲弊するなら、それこそ「副業や投資で稼げばいい」と思う人も多いでしょう。
実際、バブル期は経済成長も著しく投資機会は沢山ありそうで、お金を稼いだ話は山ほど聞きます。
ですがそもそも前述の通り、副業をやる時間なんてそもそもありません。もちろん副業解禁なんてトレンドも当時は聞いたこともありません。
じゃあバブル期ゆえ株式投資で稼げばと考えると思いますが、サラリーマンという身分だったら株式投資をするのは当時はかなり無理があります。
まず、ネットが無い時代、そもそも株価の動きは「新聞紙」で毎日2回朝晩にみるのと企業分析は「会社四季報」を読み込むのみです。
でも銘柄が決まったところで株式の売買は「電話注文」しかありません(ファックスもあったかもしれません)。
もちろん注文は成行や指値もできますが、そうした注文のため電話で証券会社に連絡するわけですが、会社の電話からかけるには気がきではありません。
じゃあ携帯からかければ・・とて携帯電話も存在しません。
それゆえ外出をして「公衆電話」からかけるしかないのです。
いちいち業務から抜けて注文しにいくなんてとても無理なものです。
では不動産投資が良いと思うかもしれません。
それはそれで当時は金利が7%ぐらいはあったわけで(投資ローンだともっと高いかも)、とてもサラリーマンが投資ローンで気軽に不動産を買うことは難しい時代ではありました。
なのでせいぜい貯蓄を増やし、かなり大雑把に株式投資をしたり(あらかじめ相場を考えて担当者に指示をしておく)、ある程度の元本ができたら現金多めで不動産投資で売買を短期で繰り返すというやり方になってしまいます。
でもバブル期にそんなことを実行していたら、その後のバブル崩壊でFIREどころか自己破産をしていたことでしょう。
投資環境が今とは比較にならないぐらい過酷なわけです。
定年まで短い
また当時は定年が60歳と制定されましたが、それは「企業の努力義務」でしかありません。
なので一般には55歳定年制を採用している企業が多かったのです。
するとFIREの適齢期としては40代を目指すことになるわけです。
定年が今よりも10年程度短いわけで、投資期間が25歳~45歳としても20年間がマックスとなります。
結局、長期投資とはいえ時間軸も短くなるなかでスタートダッシュのFIRE達成を目指さなければいけないわけです。
それもハードルが高いものです。
終わりに
以上、バブル期は経済成長やら投資の機会やらで「良い時代」といった認識が広がってその「芝生が青く見える」とは思います。かもしれませんが現実はFIRE不向きどころか「全社員社畜時代」いや「社畜国家」とも言えます。
今の時代を嘆いて「バブル期に過ごせた人はずるい」と思うのはご自由ですが、本当にそんなにラクな時代だと思われる方はタイムトラベルをお勧めします。
どの時代も良い点もあれば悪い点もあるわけです。
ずば抜けて得とか損といった開きが無い以上、自分が置かれた状況をそのまま受け入れてその時代にあった資産形成やFIRE達成に全力を尽くすほうが健全だと思います。
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