アメリカのミレニアル世代(現時点およそ28歳~44歳)において、FIRE達成で重視するのは「(早期リタイアより)経済的自立だ」との考えが主流になっているそうです。
過去(1990年代)のアメリカのFIREムーブメントは「複数の収入源を作って完全リタイアを目指す」とのものから昨今、「ストレスのない仕事を続けながら自分の情熱を追求する」というものへと変化しているそうです。
といった記事をみたので、今日はこれについて思うところを綴ります。
アメリカのミレニアル世代のトレンド
FIとREを切り離すミレニアル世代たち。経済的自立を果たしても、なぜ働き続けるのか?
- FIREムーブメントに参加するミレニアル世代は、従来の意味での早期退職よりも、経済的自立を重視する。
- 彼らの多くはフルタイムの仕事はやめたいと考えるが、ストレスの少ない仕事を続けるつもりだ。
- 経済的自立を目指す5人のミレニアル世代が、早期退職にこだわらない理由を教えてくれた。
ということです。
ちなみに登場するミレニアル5名は、
シェリー・オクトーバー氏(41):自分のビジネスを立ち上げ自分の好きなことをやりながら収入を得る。
オズ・チェン氏(35):社会ともつながりの強い生活を求め150万ドル(約2億3600万円)を有しながらも早期退職ではなくキャリアを通じた目標達成に切り替えた。
リエラ・アリーザ氏(31):経済的自立を、自分の情熱を追い求める生活の延長線上にある目標ととらえてサイバーセキュリティービジネスと不動産ビジネスを手掛ける。
デイヴィッド(36)&ポウリー(34)夫妻:82万ドル(約1億2700万円)の純資産を持ちながら仕事を優先しそれが楽しくなくなるまで仕事をする。
日本のFIREのトレンドと比較した私見
このようなアメリカの状況と比較して、基本、日本も同じ流れにあるとは思います。
統計データが無いのであくまで直観的なものですが、FIRE関連のコミュニティーをみていてもミレニアル世代はFatFIREよりもSideFIREなりのセミリタイア志向が強いと感じています。
それは、
・現実論として完全リタイアよりもセミリタイアの実現性が高く早く到達できる、
・ストレスなくゆるく仕事をしながら自由に暮らす生き方を目指すのに適する、
ということだと理解しています。
ただ、唯一、アメリカが日本と違うのは雇用環境です。
アメリカは雇用の流動性も労働の柔軟性も日本よりも相当高いので、セミリタイアを実現しやすいと言えます。
日本で最近みかける新しい働き方(ジョブ制度)はアメリカの働き方に追従するもので、セミリタイアが増えるといった見解を記事にしています。
記事についての反論
ただ1点、この記事は「ミレニアル世代の特徴」として世代を理由に書いていますが、僕はそこには本質的には2つの理由がミックスしていると思っています。
それは「世代の理由」と「年齢の理由」です。
世代の理由
ミレニアル世代(20代後半から40代半ば)は、リーマンショックやコロナ禍を経験している分、経済的な安定性を得て将来の不確実性に備えたいという意識も強いと思います。
また、物質主義からよりミニマリスト的なライフスタイルによる精神性を重視するなど、心の豊かさを重視しています。
これらは時代特有の背景によるもので世代の理由といえます。
年齢の理由
一方で、僕のように50代まで働いてから完全リタイアをした経験からすると、世代云々というよりも本質的には「年齢」であり「加齢」も大きいと思います。
ミレニアル世代はまだ20代後半から40代半ばなので、体力的にも経験値的にも仕事に情熱を燃やし続けることが50代よりも可能です。
そんなミレニアル世代が50代半ばを迎える頃には、年齢的な意味合いで、早期リタイアをして自分の人生を生きたいと思う気持ちが強くなると思います。
働くことで、働くこと以外の意義を見つけたくなるということもあると、個人的には思っています。
終わりに
今回は世代と国の両軸でFIREについて考えてみました。
結局、国が違っても世代が違っても、FIREの本質は「経済的自立をすることで人生の選択肢を得ること(=好きな生き方を選択すること)」にあると考えています。
セミリタイア界隈では「働いたら負け」とか「労働こそストレスで悪」との感覚をお持ちの方も多いようですし、するとFIREして働くのは「愚行」と論じたくなるかもしれません。
僕も働くことだけが人生だなんて思っていません。
そんな考えは人それぞれですが、なによりも働くか働かないかは重要ではなくて「自由に生きる決断をできること」こそがFIREのメリットで着目したい点です。
ミレニアル世代が働きたい意欲を持つ続けることは暖かく見守りたいと思っています。
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