よくブログで「総資産公開」という言葉をみますが、その「総資産」という意味は人によって使い方に差があると思います。
株関連の投資ブログをされている方は「総資産=所有する有価証券の時価総額の合算額+預貯金」という意味で総資産額と使われていて、恐らくこれが多数派で一般的です。
一方で、僕の定義は会社の財務会計で使うBS(バランスシート)で資産管理をしているので「総資産=あらゆる資産の時価総額の合算額」と幅広く使っています。
その理由は所有する資産全体の出口戦略を中心に管理するのに楽だからです。
今日はそんな「資産」に関連する定義の違いを綴ります。
資産管理の目的の違い
株式投資する方が「総資産」という意味を「有価証券等や現金の総額」として使うことが合理的と思う理由は、投資中の有価証券の時価評価総額(総資産)を基準に、その投資リターン(利益額や利回り)を簡単に把握できるからです。
もし全ての有価証券をオンラインで買い付けていれば、おおかた楽天証券もSBI証券も、ポータルで時価評価額の総額が表示されますし、それが総資産です。
一方で、有価証券以外の投資もある僕の場合は、所有する資産全体を網羅的に管理したいので、有価証券に加えて、不動産等の現物資産も含めた全体を把握したいと考えています。
その全体が総資産となりますし、また総資産をできれば3つの出口にわけて管理したいとの意図もあります。
それは、①今の実質資産総額、②今時点での相続可能額、③今時点での投資に流動的に使える資産です。
それを図式化して示します。
総資産・純資産・金融資産の違い
僕が家計管理で重視しているのは資産全体の管理です。
全体というのは、所有する全財と、それら財産に伴う借入金なども把握管理します。
その結果、総資産、純資産、金融資産といった3つの区分で管理します。
それぞれみていきます。
総資産とは
総資産は「資産の部(左端のグラフ)」に該当する「すべての資産の価値を合算した額」です。
それは大きく2つの資産で構成されていて、①金融資産(青色部分=現金、株式、債券、保険等)と、②現物資産(黄色部分=不動産、車両、時計や金など売却し現金化できるもの)です。
この2つの合計(今時点で所有する財産全ての価値合算額)が総資産で、つまりは総資産はそれぞれの評価額(株式や投資信託などはその時点の時価評価額、債券や保険などは解約による返戻金、不動産は想定される売却金額)となります。*簡素に考えるためここでは税金は考慮していません。
純資産とは
なお、総資産として持っている財産のなかには、例えば不動産は住宅ローンで借入金があります。人によっては車もローンを組んでいる人がいるかもしれません。
なので、総資産というものが資産全体の価値を示しますが、実際の資産の価値は、その「借入金」を引かなければいけません。
よって、総資産から負債を引いたものが純資産(=実質的な総資産)になります。
金融資産
そして金融資産というものが、いわゆる株関連の投資ブログをされている方が使われる「総資産=所有する有価証券の時価総額の合算額+預貯金」というものと一緒になります。
それを、前述の「総資産」という定義と混乱させないよう、僕の場合はそれを「金融資産」と呼んでいます。
貸借対照表(BS/バランスシート)での資産管理目的
こうした財務管理による家計管理をする理由は、資産を3つの切り口(出口)で見ているからです。
それは、①今の実質資産総額(=純資産)、②今時点での相続可能額(=総資産)、③今時点での投資に流動的に使える資産(=金融資産)です。
今の実質資産総額(=純資産)
いま、自分が実質的に持っている(借金を返済したあとに残る)資産が「純資産」にあたります。
つまり、総資産を処分して(投資や資産運用を全部やめて)手元に残る額が純資産であり、「今の実質資産総額」ともいえます。*厳密には税金が引かれますが。
今時点での相続可能額(=総資産)
また、資産の処理として自分がいま亡くなってしまって処理をすることになると少し条件が異なります。
僕の場合はそれは「純資産」ではなく「総資産」になります。
なぜなら、僕が持っている「負債」は住宅ローンなので、死んでしまった場合はその負債額の返済が無くなる契約であるため(団信)、負債が引かない「総資産」がそのまま手元に残ることになります。
いわゆる「住宅ローンを使って生命保険がわりにする」というものです。
総資産はしたがって残された家族の相続対象額となります。
今時点での投資に流動的に使える資産(=金融資産)
現物資産のように簡単に売り買いできるものとは違って、金融資産は様々な有価証券に形を変えたり、現金を使って有価証券を購入することが可能です。
今の現預金や所有中の有価証券を、今後、投資信託等にまとめていき、それを定期的に取り崩す形で資産を減らしていくという出口作成には、この「金融投資用の資産総額」を操作することになりますので、この額が参考となります。
終わりに
以上の通り、何気なく使われている「総資産」という用語ですが、その使い方は人によって違う面があると思います。
僕のような出口戦略を考えながら資産管理をする必要がある場合は、財務会計(バランスシート)を応用した家計管理のほうが楽だったりします。
サラリーマンの頃は時間もなくてシンプルでしたが、いまはこうした方法で少し丁寧な管理をやりつつ、家計管理を通じて①実質的な資産額がいくらか=純資産、②相続額となる資産額がいくらか=総資産、③投資運用(取り崩し型)の可能資産額が幾らか=金融資産、を把握しています。
まだ改善中ですが、こうした方法が何かのお役に立てれば幸いです。
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