先日の東京都知事選は現職の小池さんが当選を果たしました。
あけてみると現職強しの「変わりばえの無い結果」でしたが、今回の選挙をきっかけに東京が変わり始める気がしました。
その理由は良くも悪くも「改革を目指す石丸劇場はかなり緻密に仕込まれている」という点です。
今日は僕が感じた都知事選のポイントについて綴ります。
メディアの間抜けさが露わになった
まずマスメディアの読みの甘さと偏向報道がくっきりしたと思います。
メディアが当初に騒ぎ立てたのは「都知事選は小池VS蓮舫の女性同士の“頂上決戦”の構図だ」という切り口です。
そりゃメディアの報道部門の政治局は既存政党との関係や情報網という旧来遺産で脈々と生きていきたいわけです。
メディアの経営層も「スポンサー企業からの収入に依存」するわけでご機嫌を取りたいところ、スポンサー企業と関係の深い政治家批判はご法度です。
抜本的な改革なくして東京も日本も変わらないと思っているなか、「政党同士の戦い」と言い切る内向きな力学を煽るメディアも、東京が国政の代理戦争の舞台となって都民が巻き込まれるのも、そりゃないでしょうと思っていたのです。
石丸さんの登場
そんななか「政治屋の一掃」と登場して目を引いたのが石丸さんでした。
石丸さんのビジョン
石丸さんは「政治再建が必要でそのために経済を強くする。若者に政治に関心を持ってもらいたい」との展望で、自分の利益より都民や国の利益を考える姿勢にみえました。
それが「政治屋の一掃」といるメッセージです。
実現方法も「遠くない将来、東京も人口が減少に転じるのですぐに構造的な手をうつべし」といった視点をもって現実路線で構造改革するアプローチで、経済を軸に再建するのが良い方向だと思っていた僕とは課題感が一致していると思いました。
石丸さんにとっての壁と演劇
ただ立ちはだかる既得権の壁は大きいでしょうし、これまでのやり方では打破できないと思っています。再建より改革が必要で、そこには既得権を持った人の反発が必ず起こります。だって改革で既得権を奪われるわけですから。
石丸さんのやり方は「選挙に関心を持ってもらうことで腐敗した政治を断ち切る」という考えであえて「劇場型の政治をしている」と思えました。
改革には大きなうねりが必要で、実際、広島時代のエピソードも含めて直情型で発言しているというよりあえて計算づくで議会と対立や議論をし透明に発信することで興味関心を巻き起こしているように見えます。
口だけの人は信用できない僕としては候補者の行動を見てしまうのですが、他の候補者にはないネット活用とか精力的な演説数とか、熱意は高いと感じました。
選挙後の放送事故並みのやりとり
ただ、そんな石丸さんですが、少し残念だったのは、選挙後に複数のTV局に出演するなかでかなり質問者に毒づくやりとりがあったことです。選挙疲れに加えてレベルの低い質問を受けてウンザリしていたとはいえ、そこまで高圧的で不機嫌に対応するのは行き過ぎ感がありました。
相手が権威あるメディアだから対等の関係として容赦しないのでしょうが、そこに賛否が分かれるところです。
ただ面白かったのは次の舞台に「衆議院の広島1区」を具体的に挙げたことです。
広島一区は岸田総理のおひざ元なので、あえて挑発的な出し方をしていたのは、広く政治が注目を浴びるような方向に持っていこうと、エンタメ化を演じていると思ったのです。
日テレとABEMAPRIMEでの対応の違い
エンタメとして興味深いのが日テレのインタビューで古市氏との放送事故並みの確執です。
ただ、その日テレは意識的にやっているというのが、同じ質問をABEMAPRIMEで対応した時との違いで理解できました。
日テレでの対応
冒頭から古市氏が「出口調査では石丸さんが2位らしい。嬉しかったですか?」と問うと石丸さんは「勝ち負けなどという候補者目線の小さな話をしていないんですね」と返しました。
政治家一掃を掲げている通り、そんな政治家の立場や視点(勝ち負)なんて枠で図ろうとすることそのものが、「政治屋を一掃する」というポリシーにそぐわないということすら、多分、古市氏は理解せずに聞いたのだとは思います。
そんな枠組みに当てはめられたことに少しむっとした態度が出てしまったと思えました。
そして古市氏は「まだ都知事選の開票が続いている中で国政で広島1区から出馬する可能性に言及されたのは、結局都知事選はただの踏み台だった、売名行為だったのかと思ったのですが、この点についてはどうですか」と質問。
石丸氏は「下衆の勘繰りでしかない。聞かれたので可能性を言及しただけ。意思はないとも言っている。文脈を把握しているか」と反論しました。
たしかに別のインタビューでも、なんら出馬するという意図ではなく、あくまで机上にある選択肢の1つと言ってます。
いろいろな選択があるのは当たり前で、あえて広島を挙げたことの意図があったと思っていたのですが、古市氏はそれをインタビューで掘り下げられず自分の勝手な憶測に当てはめて質問する低レベルの対応をしたわけです。
さすがにこれは僕も驚いた次第です。
ABEMAPRIMEでの対応
一方、ABEMAPRIMEでインタビューでは石丸さんの対応はかなり違いました。
ABEMAPRIMEでは司会者が「あえて岸田さんの選挙区を言葉にして出されたのはどんな思いをお持ちなのでしょうか」に対して石丸さんは「メディアの皆さんが反応するからです」と返答。
また司会者が「具体的にどんなイメージをお持ちですか?」と聞くと、今度は石丸さんは「例えば広島一区で出るという布石を置いておくと、解散総選挙の有無というところから話題になるでしょう。そこにメディアの皆さんが騒いでいくと国民の政治に対する興味関心がまた一段あがるのかなと。」といった回答でした。
やっぱり目的は「政治に関心を向けさせる」というポリシーにあるわけで、それを古市氏の通り「政治家として成しあがるために都知事選を使った」というのはかなりの侮辱ですね。
個人的見解
個人的にはメディアであえて悪態をつくことを「劇場型シナリオ」として進めているとは思いましたし、それが改革のうねりを作る意図だと感じたのが僕の見解です。
テレビやメディアに対して「もっと姿勢を正せ」というメッセージは感じましたし(そのやり方には個人的には賛同しかねますが)、その「腐ったメディアを正す」ということも石丸劇場のテーマにはあるようで、計算に思えてなりません。
終わりに
こうした新しいタイプの人が出てくる世の中も、物議となることも、人々が政治に関心を向く動きを作っているので良いのかもしれません。
その意味では僕も石丸劇場に乗せられているのだと思います。
さすがに石丸さんのテレビでの対応は見ている人もヒヤヒヤものだったのでそこがフアンかアンチかの分かれ目かもしれませんね。
引き続き石丸劇場が本物なのか注目していこうと思います。
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