バブルの後半期(1993年)から30年以上も「個人年金保険」の掛金を払い続けました。
それは「手を出すな」と言われがちな「保険商品」なわけで、しかも10年前には掛金を上限まで「割増し」をしたわけです。
その理由はバブル期に販売された「お宝保険」だからです。
年間支払額が現役時代のボーナス1回の手取り額に近く、負担は軽くありませんでした。
先般、その最後の支払いが無事に終わり権利確定してホッとしています。
今日はバブル期を振り返りながら今と昔の投資や経済状況の読み、金融商品の果たす役割などを綴ります。
個人年金保険とは
個人年金保険は「年金」「保険」という名の通り運用中は生命保険の扱いです。
契約者が個人年金を受給開始する前に亡くなると死亡給付金が遺族に支払われます。僕は運よく亡くならず「受給開始年齢」にもうすぐ到達します。
すると到達してからは一定額が「年金」として支給されます。それも生存の限り支給される個人年金保険(終身)です。
そのぶん掛金は割高でしたが公的年金に準ずる個人版との位置付けでようやくメリットを享受する直前まできました。
バブル期の保険はお宝のもの
そのバブル当時の個人年金保険は予定利率が5.5%と異常に高いものでした。
同時期に個人年金保険等をご契約をされている場合は、以下の通りの予定利率が適用されている「お宝」の可能性もあるわけです。
50代以上の方、若い方でもご両親などがお持ちかもしれません。
(出典)「新・お宝生命保険」はこれだ!絶対に解約してはいけない、知る人ぞ知る販売中止商品とは?今でこそ「お宝」ですが当時は「こんなばかげたもの!?」と誰も見向きをしませんでした。
銀行の定期預金だって5%近い金利がついた時期になぜこの商品を契約する必要があるのか・・・。というのが一般的な感覚です。
ただ僕はこの頃「おそらくバブル崩壊で日本の将来も危うい」といった認識があって少しばかり先行きの不安を感じていました。
バブル崩壊を認識した日
実は世間がバブル崩壊を認識するようになったのはかなり後のことです。
日経平均株価がバブル期のピークを迎えたのは1989年12月29日で38,915円を記録した時です。
そして翌年1990年には相場は半分以下に下落し、そこから時間的ギャップを経て不動産価格も急落しはじめたのです。
ですが「日本のバブル経済が崩壊した」と世間で認識されたのはずっとあとの1991年から92年頃です。
不良債権問題が大きく顕在化し、企業倒産や失業率の上昇が起こった頃からです。
僕が経済破綻だと感じた日
僕が「こりゃ経済が終わったかも」と感じたのは1992年発刊の「国民生活白書」を読んだ頃です。
当時の新聞や見識者はまだ「景気回復の期待がある」なんて言ってました。
一方で政府機関の発表する白書は各省庁いろいろ出していて、この白書には「少子化」や「高齢化社会」といった構造問題が指摘されていたのです。
バブルも崩壊し個人の老後生活も危うくなるかもという危機感を感じました。
その頃は年金基金の運用成績も悪化し、少子高齢化が進む人口動態ゆえ、将来は必ず年金原資は苦しくなる(年金受給者数増加に対する保険料負担の若年層減少)はずです。
さらに当時は「人生80年時代」と長生きリスクも言われだしていたのです。
そうした厳しい先行きを感じて「公的年金に頼らず長生きリスクをヘッジするなら個人年金保険だ」と合理的に感じ、職場に出入りする保険ガールズのお姉さんに相談し契約したのです。
今の問題も昔からある
当時も今も時代は変われど政治経済を取り巻く根本課題は何ら変わらない気がいつもします。
今はネットで情報が簡単に手に入りますが、ネットがなかった当時は霞ヶ関界隈の省庁の売店や資料室で白書をみて「やばい」と感じた、そんな入手方法の違いぐらいで書かれていることは変わりません。
それゆえ独身でお気軽な生活にお金を使い続けたい心境ながら、先行き不安から「老後の最悪事態を先に対処しよう」と契約してしまったのです。
あらゆるリスクに手広く手を打つしかない
今でこそ良かったと思いますが、当時に感じたリスクはそりゃ大きいものです。
だって30年以上も掛金を払い、そこから何十年もかけて受給(回収)をするわけです。
その間にインフレで貨幣価値が目減りすると儲けも目減りしたり最悪は吹っ飛びます。
結果的には「デフレ経済」は味方をしてくれラッキーではありますが・・。
やはりいつの時代も政治経済の問題は本質的には同じで、単に経済環境がどうなるか(インフレやデフレ、円高や円安)は「どうなるかわからない」というだけに感じます。
なので自己防衛でいろいろなパターンに広く手を打つしかないというのが対処方法なのだと今でも思います。
もちろんこれから受給するなかでインフレで実質価値は低くなるリスクもまだ残されてはいます。
終わりに
最終回の払い込みを終えた先日、受給確定額(10年分は確定給付)を自分の資産に計上しました。
金融資産は2%ちょっと底上げされ、受給から10年以上の長生きすればトータルリターンは更に高くなります。
僕の若い時はイデコなんて制度がなく「個人年金保険」でリスクヘッジするしかなかったわけで、それでも若い皆さんは「60歳以降まで受給されないイデコなんて無理」と敬遠しがちだと思います。
でも少額でも契約があるのが大事で、僕も当初は少ない掛金でしたが10年前に「これはイケる」と割増条項を使って年金掛金を目いっぱいまで増額しました。
お宝の契約が少額でもいいから持っていないとできないことです。
やはり宝を探して「ハズレばかり」とがっかりするより、幅広く長期投資をして「お宝があればラッキー」という(勝ちにいくというより)負けないやり方でも十分だと思います。
結局、お宝は見つけるものじゃなく、いつのまにか手に入っていることで喜べる、そんな薄めの欲でも生きていけるわけですから。
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