アーリーリタイアまで資産を増やす努力はしてきましたが、その過程での、資産増加と心境の関係性がどうだったのか、思い返してみました。
つまり「資産が増えると心境に変化が生じるか?」という設問です。
結論を言うと、①短期的(数カ月単位)な増減は気にしない、②中期的(年単位)は増加は気にするがだからといって行動(節約心や儲け心による行動変化)はない、というものです。
今日はこれを綴ります。
資産の短期的な増減について
金融資産(預貯金、株式、外貨、債券等)はどうしても時価評価額に連動して日々増減します。
その動きは一直線に資産額が増えるのではなく、資産総額は時に上がったり、また下がったりの繰り返しです。
こうした動きの中で、時には1日の値上がりや値下がりが月給相当になることもありました。
一方で月数百円の固定費を削減することも考えたりしたわけで、そんな日常を基準にすると、評価額の変化に気をもんでいると脳がバグってしまうというものです。
なので、投資経歴が長くなるにつれ「資産の短期的な増減は気にするだけ無駄」と思うようになりました。
その感覚はリタイア後の今も続いていて、やはり短期での資産増減は気にしません。
資産の中期的な増減について
そうした資産の増減について、40後半からは毎月1回、資産総額を定点観測するようにしました。
短期的な日別変動は気にしないかわりに、現役時代は毎月末時点の資産が着実に増え続けていることを監視していたわけです。
月によって大きく増えたり、さほど増えなかったりの勢いが違うだけで、右肩上がりで増えることで心境的には安心感を得ていた感じです。
ただ、資産が増えたからといって気が大きくなり散財することもなければ、節約の手を緩めることもありませんでした。
その理由は、およそ年収と生活費のパターンと投資による増分で、毎年、幾らに着地するかの長期プロジェクションを立てていたからです。
つまり、〇〇年12月末は△△円、といった将来の各年末時点の予測推移です。
その予測推移に届くかそれを超えることを目標にしていたので、資産が増えるからといって散財する気にはとてもなりませんでした。
FIREを目指す人は恐らく「FIRE所要額」を求め、その目標値にどう到達するか年間単位の推移を立てたりしているはずです。
そうした方はきっと同じように散財する気にはならないと思います。
*逆に散財してしまう人はそうした年間単位の推移目標までブレイクダウンしたものを作るのが良いと思います。
資産額の増加に伴う心境変化
そんな資産が増えることで心境としては「安心感」が増えることは前述の通りです。
現役時代、そんな安心感以外に心境として感じたものは単純で、
・資産が増えるとさらに資産は増えやすくなる
・資産が増えたからと言ってリスクの取り方は変わらない(リスク許容度は一定)
・資産が増えたからと急に寄付をしたりといったこともない(社会的責任感も一定)
・資産が増えたからと急にお金に執着することもない(経済的欲望も一定)
といった具合です。
ちなみに資産が増えることより、現役時代からリタイア時代へと変化することによって、上記の心境にも変化が生まれました。
特にリスク許容度は少なくなって防衛的な資産構成にしたり、以前よりも社会貢献として寄付が増えたりといったことです。
終わりに
以上、資産が増えると単純に「嬉しい」とは思いましたし、それが毎年の目標値をきちんと推移したり上回るとそれも「嬉しい」と感じたりはしました。
ですが節約習慣も、リスク許容度も、社会的責任感も、経済的欲望もさほど変化はなく淡々と過ごしていたと思います。
お金が増えてもそれはデジタルデータの表示が変わるだけのことで、お金が増えている実感がなかったのかもしれません。
なお、お金を使うことは心境や心の感度に直結します。
以前、老齢の母親を本人の最後の海外旅行としてハワイに行きました。
その時に(僕もこれまで泊まった経験はない)5つ星ホテルのスイートルームに滞在しバルコニーから素晴らしい夕陽や花火を一緒に見た時は「これが母親の人生最後の海外旅行の思い出になるだろう」と思ったときは心にビビっと来るものがありました。
やはりお金を増やす時よりもお金を使うことのほうが、人間的で、お金の存在や価値を身近に感じます。
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