このところセミリタイア界隈で取り上げられているホットな記事があります。
黒坂岳央さんという方の「”早期リタイヤが人生目標”という残念さ」というものです。
今回、この記事についての個人的賛否を綴ります。
なおWIKIによると、この方は40代前半で実業家・投資家・ブロガー・講演家・・です。
記事の要旨はつまるとこ「仕事は最高に楽しいゲーム(事業育成ゲーム)でFIREという”ラクな道”は達成感も、やりがいも、生きがいも、承認や愛もない」という面白い主張です。
記事の要旨
記事で書かれているメッセージとしては、具体的には、
・30代半ばで脱サラして気がつけばFIREしていた
・仕事とは最もクリエイティブで有意義かつ楽しいもの
・(たとえ今の仕事が嫌でも)職場や仕事内容が変われば労働は地獄から天国に変わる
・独立するとさらに仕事の自由度、裁量権、責任が増え楽しくなった
・人間として最高に楽しいことは何かに夢中になって育成する「育成ゲーム」
・FIREは資産育成(だが必ずしも資産は育成できないこともある)
・FIREは体が楽なだけでなにもない(達成感もない、やりたいことや欲しいものがなく、誰からも必要とされず、誰からも愛されない)
・だからFIRE(早期リタイア)が目標というのは残念
といった意見です。
原文となる記事はこちらです。
とても頼もしい
正直、こうした思いを全力でぶつけられるのは頼もしいと思います。
起業家、実業家としてどのような成功があるかはわかりませんが、少なくても事業を興す熱意も行動力は並はずれています。
その原動力に「楽しい」というものや社会的な承認欲求、自分の存在価値への拘りも溢れています。
個人的にはそんな熱い起業家タイプは好きですし、日本に明るい未来を描けない今の若い人にとって、40代前半のこの方が1つのロールモデルになるとは思います。
やりがいや生きがいは多様-that`s the world
ただ一方で、仕事を趣味のようにこなせてそこに幸福を見い出せるのは稀です。
大半の若い方にとって仕事はお金を稼ぐだけの手段として、その嫌なことやつらいことを甘んじて受け入れ、そして日々を暮らしているのが現実です。
こうした多数派のなかで、「なるべく早く貯蓄をし、嫌なことから解放され、ラクに生きていける早期リタイア」を理想とする人が出てくるのは自然なことです。
この方が「仕事は事業を育てるゲーム」と主張するように、そうしたFIREを志向する方は「FIREは節約による会社から離脱するゲーム」と思っているのです。
そうした生き方だって何ら悪くないと思います。
だって視点を変えれば
・仕事とは最もクリエイティブで有意義かつ楽しいもの
→貯蓄、節約あるいは資産形成は最もクリエイティブで有意義かつ楽しいもの
・(たとえ今の仕事が嫌でも)職場や仕事内容が変われば労働は地獄から天国に変わる
→(たとえ今の仕事が嫌でも)貯蓄してFIREすれば地獄から天国に変わる
・独立するとさらに仕事の自由度、裁量権、責任が増え楽しくなった→FIREすると人生の自由度、裁量権、自己責任が増え楽しくなる
・FIREは体が楽なだけでなにもない(達成感もない、やりたいことや欲しいものがなく、誰からも必要とされず、誰からも愛されない)
つまり人生をより良く生きるうえで、仕事も1つの手段、FIREも1つの手段。
それらは世の中にある「多様な横並びの手段」であって、つまりは並列ですが序列じゃないと思います。
なので「”早期リタイア”が人生目標という残念さ」とのタイトル記事はこの方(黒坂さん)の個人的意見であって、視点を変えると「残念」どころか「歓喜」と待ち望む生き方をする人もいるわけです。
終わりに
ちなみに僕も少なからず仕事も趣味と感じたり、貯蓄も楽しいゲームと思ってやりながら、家庭生活も資産形成も終え、ようやく50代でFIREしました。
なので黒坂さんと同じように考えていた若い頃はありましたが、いろいろ経験して辿り着いた今の結論は、黒坂岳央さんの引用に1つ加わったものです。
仕事は事業を育てるゲーム。(引用)
投資は資産を育てるゲーム。(引用)
育児は自分の分身を育てるゲーム。(引用)
教育は自分の能力を育てるゲーム(引用)
FIREは「育てるゲーム」を終えて「自分を解放するゲーム」(僕にとってのFIRE)*解放といってもフラフラするのではなく、自分の好きなことや興味あることをつなぎ合わせて世の中を深く理解しようとするリベラルアーツのようなものです。
黒坂岳央さんの記事、考えるヒントになりました。
益々のご活躍をお祈り申し上げます。
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