FIRE（Financial Independence, Retire Early）というライフスタイルがブームとなるのは様々な社会変化が要因になっています。
そうした社会変化が起こるごと、またFIREも形を変えます。
そこで今回、社会的変化を予測しFIREの未来予想図を作ってみました。
第１回目は「FIREは死語になる」という未来予想図です。
働き方やライフスタイルの多様化が更に進み、「働くこと」と「自由に生きること」の境界線がファジーとなり、将来、FIREという特別性が失われるというものです。
FIREの定義は既に曖昧
働いている、働いていないという境界は既に曖昧です。例えば今も「自分はFIREしている」といいつつほぼフルタイムで仕事に時間を注いでいる人もいます。例えば、会社組織には属さないで個人投資家、ライター、ブロガー等々、好きなことをしながら生計を立てている方です。
あるいはその対極に「静かなる退職」として、会社にいながらストレスも監視もない自由な労働環境で粛々とサラリーマンとして雇用関係を持ち続け、もはやFIREをしているかの生活を送る人もいます。
つまり、何をもって「リタイア」とするのか、労働時間（時間的束縛）なのか心の在り方（精神的束縛）なのか、その基準も自由の感じ方も人それぞれです。
もはやFIREの意味する労働と自由の境界は極めて曖昧です。
働き方の多様化は止まらない
こうしたなかで社会的変化に目を向けると、今後も「働き方の多様性」はますます進んでいきます。
既にその変化は過去数年でコロナ禍も乗り越えニューノーマルの今は大きく変わりました。
リモート勤務で働くことで場所の自由度が高まったり、フレックス制によって時間的自由度が高まっています。
ワークライフバランスによって男性も「育児休暇」を取得したり余暇の取り方にも自由度が増しています。
またサラリーマンをしながら副業をしたり、フリーランスとなって企業と契約関係を結びプロジェクトベースで請け負うなどの働き方もあります。
働きながら副業することも推奨され、ますます会社に依存する在り方が薄れ、働きながら自由を満喫したり、働き方も自由に選べたりというライフスタイルが加速していくと思えます。
するとFIREがもたらす「自由を得るために仕事を辞める」というコンセプト自体がもはや意味のない死語となります。
セミリタイアが働き方の主流に
すると、「セミリタイア」という働き方が社会のスタンダードになるかもしれません。
フルタイムではなく、セミリタイアとして働きながら、自分の時間や自由を大切にするライフスタイルを当たり前に送る世の中になることです。
好きな仕事を必要なだけ行い、余暇や自己実現を追求する生き方が増えていくことです。
もちろん雇用の流動性も高まれば自分が望む仕事に就ける可能性も高まります。
ゼロかイチかの「フルタイムか完全リタイアか」という必要性はますます薄れ、働くことと自由に生きることの境界線もファジーであることが当たり前な世の中です。
AIを使って自己実現を加速
また、仕事そのものが単なる収入源というより、自分の価値観や興味を反映する活動として捉えられるようになるかもしれません。
AIやロボットによる自動化が進めば、人間が行う単純作業的な仕事は減っていき、より創造性や個性を活かした仕事が望まれ、また選択できるようになります。
大企業が世の中を動かす時代から、1人のインフルエンサーがSNSを使って世の中を変えていくような、そうした「個」の威力が高まっていくわけです。
結果として、会社組織の歯車なる生き方よりも、自分が楽しめる仕事を選ぶ人が増えて、自己実現が加速するというものです。
終わりに
以上、少しばかりエキセントリックに未来予想図を描きました。
こうした予想図を描きながら感じることは、やはりFIREの基本理念である「経済的自立」や「自由な生き方」は未来の社会で特別なものでなくなると良いと思える点です。
今の疲弊した社会はステレオタイプな勝ち組だ負け組で判断するばかりですが、FIREが死語になる時代には自分サイズの自己実現を目標とすることを良しとする時代なのかもしれません。
とはいえ今の学校教育では金融リテラシーが標準的に教えられることもなく、未来予想図が現実化するのは程遠い気もします。
若い世代にとって投資や資産形成が当たり前のスキルとなれば、そもそもFIREというコンセプトを知らなくても、早い段階で経済的安定性を手にして自由に生きていける人が増える時代が来ると思います。
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