なぜ「年金で生活できない」という文句が嫌なのか?

2024-12-17

アーリーリタイア生活

t f B! P L

高齢者で「年金だけで老後生活ができない」と文句を言うひとがいます。

そんな声を耳にするたび僕はいつも心のどこかでモヤっとしていました。

老後に備えて計画的に貯蓄をせず、年金に過剰に頼る人生設計で、いざ老後になってから「年金で生活できない!」と不満を言う。これがどうも納得できなかったのです。

ましてはFIRE(経済的自立と早期リタイア)を志向する観点からは、老後を含めた資金計画の重要性は強く認識し、年金だけで老後生活を支えるという発想そのものもリスクだと思って貯蓄を頑張るわけです。それゆえなおさらモヤってします。

とはいえ、今日あるテレビ番組を見てそんな自分の考えに少し変化が生まれたのでそれを綴ります。

年金制度の本来の役割を誤解

まず、「年金が少ない!」という文句を言う人の中には、そもそも年金制度の本来の役割を誤解している人がいるのかもしれません。

年金は、老後の生活を完全に支えるものではなく、生活費の一部を補うための仕組みです。

現役時代に支払った保険料に応じて給付額が決まる「積立型」の制度であり、そもそも軸足が「老後の生活をなんでも保障する」というものではありません。

実際、現役時代にきちんと保険料を払っていなかった人もいるでしょうし、その場合に払わずして「年金だけでは生活できない」と嘆くのは筋違いに感じます。

また、本当に生活に困っているならば、生活保護というセーフティネットを利用すれば良いのでは?と思っています。

しかし、今日の番組で取り上げられた高齢者たちの姿を見てその考えが少しだけ変わりました。

テレビを観て感じたこと

テレビ番組に登場したのは、少ない年金ながらも懸命に生きている高齢者たちでした。

ある高齢女性は、毎日清掃のパートをして生計を立てていました。もう一人の男性は、食費を節約しながら年金支給日にはほんの数百円のお菓子で贅沢をする程度です。また別の高齢女性は友人の誕生日プレゼントを少ない年金から工面していました。

こうした姿を見るとやはり「年金で生活できない」という言葉の裏にある現実の厳しさは感じます。

高齢者だからこそ働くにも体力的な限界がありますし節約にも限界があります。それでも可能な限り努力している姿はとてもけなげに思えます。

これまでは「年金で生活できない」という声を耳にすると自助努力をしない怠惰な人々の不満のように聞こえてイラっとしていたのだと気づきます。

すべてが自己責任とは限らない

また今回の番組を見て気づいたのは全て「自己責任」で片付けられない現実です。

例えば、現役時代に病気や家族(核家族でしたからね)の介護に追われ十分に働けなかった人もいれば、投資が一般的でなかった時代なので今のように資産形成の知識や手段は当たり前でもないのです。

そうした時代を生きてきた人にとって「自助努力が足りない」と一刀両断するのはちょっと行き過ぎた考えだと感じました。

また、高齢者が働こうとしても年齢を理由に仕事が見つからない場合もあるわけで、今の社会だって老人に優しいとはいえません。

年金で生活できないという文句の違和感

それでも、やはり「年金で生活できない」と不満を言う人に感じる違和感は完全には消えません。

日本にある生活保護という制度は年金だけでは生活ができない人も利用できるわけで、本当に生活が苦しいならば生活保護を利用すれば良いわけです。

ただ、老人のなかには「生活保護に頼りたくない」というプライドで受給申請をしない人もいます。

プライドや世間体を理由にそれを選ばず「年金が少ない」と不満を言うのはやはり筋違いには感じます。

生活保護を受けるのか、あるいは生活保護を拒否するなら年金に文句を言うべきではないと思います。

そしてやはり、高齢者の中にも元気で働けるのに働かない人や、節約を怠りながら不満を言う人がいることも事実でしょう。

こうした人々に対しては「まずは自分でできることをやるべきだ」という思いは変わりません。

結局、僕が「年金で生活できない」という文句にイラっとするのは、そもそも努力をせずに不満だけを言う態度への違和感にあるというものです。

終わりに

以上のとおり、今回のテレビ番組を通して老人の生活のリアルをみるなかで、「年金で生活できない」という文句にイラっとする違和感がどこからくるか改めて理解できた気がします。

それは「働けるのに働かず、年金に文句を言う」ということに対するものです。

自助努力もせず解決策も模索せず、不満と安易な批判の態度にモヤっとしていたのです。

年金制度には不満はありますし政府に改善は求めますが、一方で、高齢者たちのリアルな頑張りをみれば全てを「自己責任」で切り捨てず応援したくなるものです。

叩かれている映像メディアも、こうしたリアルを伝える役割をもっと担うのが良いかもしれません。



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自己紹介

2022年3末に完全リタイア。FIREの自由で創る”自分らしいセカンドライフ” としてFIRE-Driven Lifestyle Innovationをテーマに、日々の気づきや経験を発信して精神的に豊かなFIREを応援します。
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