FIREを達成するとこれまでの「資産を増やす」を重視した考え方が大きく変わります。
恐らく多くの方は、FIRE後はリスクを取らず「資産を減らさない防衛を主軸にリスク抑制する」と思われるでしょう。
それは必ずしも正しくなくて僕に限らず周囲においても「資産の用途で両極端なリスク許容」を実践している人がいます。
それは「生活資金は安全志向でリスク抑制する一方、余裕資金は大胆にリスクを取る」という両極端なリスクテイク戦略です。
今日はこうした両極端なリスク許容に至った理由と背景にある考え方を綴ります。
生活資金はリスクを取らない理由
完全リタイアをしてからサラリーマンの頃のような心強いキャッシュフロー(給与収入で生活費を賄いかなり手残りがある)なんてものは消え失せました。そうした安定収入の支えがないゆえ、FIRE生活での生活資金は「絶対に減らしてはいけない存在」となります。
この生活資金とは生活費、突発的支出、ライフイベント的支出を想定していて、これらが揺らぐと想定通りの安泰なるFIRE生活が危機に面してしまいます。
それゆえ資産運用を超防衛的にしてリスクを抑えています。
具体的には、安全性の高いポートフォリオにするため預金、債券、外貨建て年金等などの安全資産を円と外貨建てで作ります。
また流動性(半年以内に現金化されるもの)の資産額が必ず一定額を下回らない運用設計をすることで「生活資金」が不足しない状態を作っています。
これにより資産変動が相場の波に左右されにくく、数パーセントの利回りで運用でき、心理的不安の排除と安定した生活維持ができます。
余裕資金にはリスクを惜しまない
一方で、「余裕資金」に対する考え方はまったく異なります。
FIRE達成後は「生きている間に資産を最大限活用したい」という思いが強まります。
すると、自分の人生の残り時間を有意義にするため、生活費を除く余裕資金の一部を「攻めるための資金」として使うのです。
攻めると言っても、個別銘柄の株式投資で短~中期で数倍を目指すとか、リスクの高い金融商品に投じることは僕はしていません。
お金を増やす意図で時間を費やすより、純粋に人生の可能性を最大限に試したり引き出すために使うのです。
僕はそれを「自由投資予算」と名付けて「お金儲けという軸ではなく”楽しさ”の軸で投資(使途)するもの」としています。
それは他者投資(親孝行や人間関係)、自己投資、楽しさを目的とした金融投資、応援したいあるいは自分でやりたいという営利を目的としない事業投資です。
この考えに至った当時(リタイア2年経過時)の記事と心境はこちらです。
その結果、こうした使い方もしています。
他にも自由投資予算で進めているものがあるので別途記事にします。
この考え方の背景
なぜこのような考え方になるのか?
それは、FIREを達成することで「お金はただ貯めるためのものではない」という認識が深まったからです。
働いていた頃は収入があるうちになるべく資産を増やしておこう、リタイア後の見えないリスクのためにバファーを積んで貯蓄しておこうと思っていました。
今から思うと「誰のために、何のために、やっていたの?」と思えます。
やはり生活資金が安全に確保されていれば、余裕資金は損失が出ても生活には影響しないという心の余裕が生まれます。
時間という有限な資源のほうが先に尽きるならリタイア後の「人生を楽しむための投資へ回そう」と価値観が変化するのです。
これはFIREを先延ばしにして資産が想定以上にできたり、FIRE後も資産が減らずにお金に余裕ができたりしても、あるいは資産のごく僅かでも、こうした扱いをすることに意味があって、人生を楽しむ姿勢につながると思っています。
終わりに
以上、やはり根底にはFIRE達成後もそれまでと同じように「資産を増やそう」と習慣を維持したり、「楽しみは将来へ・・」と楽しみを先送りする習慣を続けていると人生を楽しめなく終わってしまうという危機感もあるのかもしれません。
でもやはりFIRE後は「お金をどれだけ持っているか」から「お金をどう使うか」に個人差はあれシフトする(あるいはシフトを試みる)のは必要だと思います。
また、FIRE前に「すぐに使うお金」と「将来のお金」にわけ、それぞれに合ったリスク管理をして少しは自分の楽しみに使う習慣を持って、お金を使う練習をするのもアリだと思います。
そうすればFIREから楽しむためのお金の使い方をスタートダッシュできると思います。
せっかくのFIREの自由があるので、最初から「意味ない」と決めつけず、まずは何事も(小規模でも)やってみると発見や学びは得られると思います。