FIRE(経済的自立と早期リタイア)を目指したりFIRE後の生活を楽しむ姿勢として、大きく分けて2つのアプローチがあると思います。
ひとつはスピード重視のFIREで、もう一つがスピードより完璧さを重視したFIREです。
そうした特徴は、本来持って生まれた性格が関係するとは思いますが、実はサラリーマンとして仕事をしていた業界の特徴も引きずるかもしれないと思っています。
今日はそんな出来事を振り返りたいと思います。
エピソード
かなり昔のことですが製造業の工場責任者と仕事をする機会がありました。その時に品質管理に対する考え方の違いを感じました。
工場は品質管理やリスク管理を重視していて、仮に製造品の品質にばらつきがでたら、その要因を徹底的に突きとめます。
加工で利用する液体の成分や温度、調合順番・・・品質に関連する要因を全て因数分解し因果関係を明らかにします。
一方、僕の携わるIT分野ではシステム開発や運用で不具合(バグ)が発生しても因果関係を明らかにできるとは限りません。バグの発生理由は複雑で再現性がない場合もあり、「原因は分からないが解決策はわかる」ということもあります。
こうした違いで、工場にITシステムを導入する際にバグが出た時は、工場責任者は不具合に関する因果関係や要因を特定できないことについてなかなか理解してもらえませんでした。
問題が起きても原因がわからないなんてありえないという感覚なのです。
業界や業務によって「正しい」とするアプローチが違うことがあるというのを強く感じました。
「IT的FIRE」と「メーカ的FIRE」
仮にそれを「IT的FIRE」と「メーカー的FIRE」とします。
すると特徴はこうなります。
柔軟でスピード重視のIT的FIRE
IT的FIREは柔軟性とスピード感を重視したアプローチというものです。
すべてを完璧に計画するよりも、必要十分な資産が整った段階で「とりあえず始めてみる」ことを大切にします。
また、FIRE後も生活スタイルも柔軟に見直しながら不測の事態に対応していくという姿勢を取ります。
このアプローチの特徴は、早い段階で自由を手に入れやすい点です。
完璧な対策を準備する「メーカ的FIRE」
一方で、メーカ的FIREは、リスク管理と計画性を重視した完璧主義的なアプローチです。
このスタイルでは、十分な資産を確保した上で、FIRE後に起こり得るあらゆる事態を想定し、すべてのリスクに対応できる準備を整えてから行動を起こします。
目標達成のプロセスも計画通りに進むよう、因果関係を明確にしながら慎重に進めるのが特徴です。
その特徴はFIRE達成後の生活が安定しやすいことです。
綿密な計画に基づいて準備を進めるため、FIRE後に不測の問題が発生する可能性が低く、精神的にも安心感があります。また、「完全な自由」を手に入れたという充実感を得られる点も魅力です。
終わりに
業界によって正しいとされるものごとが違いますし、そうした仕事に長く身を置くと考え方も影響を受けるとは思います。
僕が目指していたのはIT的FIREとメーカ的FIREの中間に位置しながらややIT寄りのアプローチです。
やはり僕は完璧な状態になるまで準備をするよりも「走りながら考える」が合っていますし、必ずしもリスクに対しても完璧な準備がなくてもその都度対処すればよいと考えてしまします。
FIRE生活を送りながら、ふとエピソードを思い出しました。
そしてもしその工場責任者がFIREしているとしたら、きっとリスクを相当に吟味し万全な準備をもって踏み込んでいるだろうなと思いました。