FIRE(経済的自立、早期リタイア)の達成は、一見すると自由で理想的な生活への到達を意味しますが、実際には「お金を使えない」という壁に直面することが少なくありません。
僕が考えるその理由は3つあって、①将来リスクへの不安、②節約習慣が変わらない、③明確な消費目的が見つからない、に集約されます。
ただし、これらは相互に影響を与え合うものであり、特に3つ目の「消費目的の欠如」を克服することが鍵だと考えます。
今日はこの3つの理由と対処方法を綴ります。
1. 将来リスクへの不安
FIRE後、お金を使う最大のハードルは「将来の不安」です。
長寿リスク(寿命が予想以上に長くなる可能性)はもちろんのこと、医療費や介護費用、さらに日本特有の災害リスクなど、何か予期せぬ出費が必要になるかもしれないという懸念がお金を使うことへの強い心理的ブレーキとなります。
加えてこの数年は「インフレ」も新たな「将来不安」として節約を加速させます。
たとえ十分な資産を持っていても「これで本当に足りるのか?」という不安が頭をよぎり、結果として消費を抑えようとする行動が生まれるのです。
日本では「老後破産」などの言葉が話題になって先行きを不安視しがちなことも、こうしたお金を使えない心理を助長していると思います。
2. 節約習慣がFIRE前後で簡単に変わらない
FIREを達成するまでには、収入を最大化しつつ支出を最小限に抑える「節約の精神」を徹底してきた人が多いはずです。
この節約習慣が、FIRE後にも強い影響を及ぼします。
「浪費を避ける」という価値観が、単なる生活スタイルにとどまらず、自己肯定感や成功体験の一部としてがっつり固定されているからです。
そのため、リタイア後にお金を自由に使うことを心の底から正当化するのが難しく、「使うことへの罪悪感」や「本当に必要なのか?」という迷いが消費行動を妨げるように思えます。
こうした習慣は一度リセットされれば大きな変化を遂げる可能性もあるので、消費の価値を明確に理解することで自然と克服されるはずです。
3. 明確な消費目的が見つからない
最も本質的な問題は、FIRE後の生活において「お金を使う理由や目的が明確でない」ことです。
仕事をしていた頃には、目標や収入に基づいて支出計画を立てる習慣がありましたが、リタイア後はその基準が失われるため「何のためにお金を使うのか」が曖昧になりがちです。
特に趣味やライフワークを持たない場合、消費が単なる支出に感じられ、満足感を得られにくくなります。
また、「老後は慎ましさが美徳」という日本独特の文化も消費行動を抑える要因となります。
この問題を解決するためには「お金を使うことで得られる価値やメリット」を具体化し、それを自分なりに納得できる形に落とし込むことが必要です。
終わりに
以上、FIRE後にお金を使えない理由として、①将来リスクへの不安、②節約習慣が変わらない、③明確な消費目的が見つからない、の3つを挙げました。
これらの中核となるのは実は3つ目の「消費目的の欠如」だと思います。
消費の目的や意義が明確になれば「お金を使うことで得られる価値」を実感でき、その結果、消費に対する罪悪感が薄れ、適度な支出習慣も芽生えます。
そんなお金を使うことで、漠然とした将来不安への備えを過剰にするより、いま得られる価値を大切にしようとバランスを取り、将来不安も過剰にならず適正化されるはずです。
FIREの本質は、単に「自由な時間を得る」ことではなく、その時間をいかに豊かに過ごすかにあるので、やはりお金を使うメリットや価値を見つけることが、FIRE後の人生をより充実させる重要な一歩だと思っています。
記事が参考になったと思われる方はぜひポチっとしていただけると励みになります。
↓