FIREを達成すると、経済的自由だけでなく、時間的自由、さらには精神的自由まで手に入れることができます。
そんなFIREは多くの人が目指すべき「良いもの」と思う一方で、FIRE達成者に対する批判的な言動や嫉妬もあります。
今日はこのような嫉妬の背景にある要因を分析しながらFIREについて綴りたいと思います。
嫉妬の構造
嫉妬は他人の成功や幸福、人間関係や持ち物など、他者が持っているが自分が持っていないものを「自分も手に入れたい」という感情から生まれます。
それゆえ、まだ世間では「異質」とされるFIREという生き方に対して、日本社会に根付いている「出る杭は打たれる」という同調性が嫉妬になっていると思います。
横並びで定年すべし・・(?)、誰もが労働をすべし・・(?)という調和を乱すものへの抵抗です。
また、嫉妬は誤解から生まれる面もあります。
なぜかFIREをゼロサムゲームと捉えてしまったり、更にはそこから「自分が損をしてでも、他人に得をさせない」と引きずり下ろし心理も生まれたりします。
ゼロサムゲーム思考と引きずり下ろしの心理
ゼロサムゲームと引きずり下ろし心理をみてみます。ゼロサムゲームとしての成功
ゼロサムゲームというのは「誰かが得をすれば自分が損をするゲーム」です。
FIREに当てはめると「他人の成功を自分の失敗」と捉えたり「他人が成功すれば自分のチャンスが減る」と誤解するものです。
しかしFIREというものは他人との競争ではなく、あくまで自分自身の努力と計画で達成するものです。競争相手は自分自身とも言えます。
成功や富を「限られたリソース」と見なし、FIRE達成者を見ては「自分はできていない」と焦ったり「どうしてあの人ができるのだ!」とやっかむ気持ち(嫉妬心)は的外れだと思います。
なお、FIREは、本質的にはゼロサムゲームとは無関係な世界というだけでなく、むしろ、他人の成功事例から学んで自分の計画に活かすことで、自分の成功確率を高めることができるプラスサムだと思います。
引きずり下ろしの心理
さらに「自分が損をしても、他人の得だけは許せない」という心理も嫉妬に絡んでいます。
これは「他人の成功が自分の価値を損なう」と感じることに起因し、その結果、FIRE達成者を批判したり、足を引っ張ろうとする行動につながるのだと思います。
ときどき、FIREに否定的なアンチFIRE記事にこうした心理が反映されている場合があります。
酷い場合はFIREという他人の価値観(良いと思っているもの)を否定するなどもあり、それは自身が一時的なエセ優越感を得るものでしかなく、みていてとても残念です。
*ただし、ビジネスとFIREの良さを客観比較したり、FIREのリスクを客観指摘するのは健全な批判で良い事です。
FIREのメリット:精神的自由の重要性
FIREをしてから感じることは、やはり会社員時代の「競争」やら「(他者との)比較」という要素がまるでないことです。
サラリーマンの頃とは違って「第三者の評価」に左右されず、自分の意思の通りに生きることができます。
そうしたFIREを目指したり達成することで3つの大きなメリットが生まれると思います。
①FIRE達成後の精神的自由
FIREを達成すると、経済的自由だけでなく精神的自由も手に入ります。
「生活のために働く」というプレッシャーから解放されることや、会社での「評価」や「競争」がなくなり、結果、「他人を蹴落とす」という世界とは距離を置けます。
その結果、「他人との比較」という考えも限りなく薄れるだけでなく、自分が幸せだと強く思うと他人の幸せも嬉しく思えるものです。
自分に幸福を感じないのに、そんな自分を通して他人の幸福を感じ取るなんて、無理なわけですからね。
自分の思想や行動を縛っている周辺の価値観から影響を受けなくなるFIRE生活は精神的自由に近づき、他人の幸せにも機敏でいられると思えます。
それがFIREのもたらす精神的自由のメリットです。
②FIRE達成前の協調や共創
FIREは自分の努力と計画で達成するもので、椅子取りゲームのように他人を蹴落とさなければ達成できないゼロサムではありません。
前述の通り、他人の成功事例から学び、自分の努力を効率化させたり、計画を洗練させることもできます。
そんな個人レベルの協調や共創メリットは、例えば株式投資も市場全体が成長する「プラスサムゲーム」として市場成長するように、FIREも多くの人が達成するほど社会全体がポジティブな影響を与えると思います。
個人の幸福度があがるだけでなく、より多くの人がFIREを目指しノウハウを共有することで「出る杭は打たれる」という文化的な足かせや「引きずり下ろし」の思考が減少し、社会全体の幸福度が向上すると思っています。
*FIRE者が増えると労働人口が・・とか経済成長が・・財源が・・というのは少し論点が違うのでここでは論じません。
③FIREは自分軸で考えるきっかけ
FIREを目指す人も達成した人も、そのプロセスを通じて「自分軸で生きる」という意識を育むことができます。
収入の見直し、支出のコントロール、資産運用といった取り組みはすべて個人の意思と行動の積み重ねによるものであり、他人の成功は自分の失敗を意味しません。
そうした収支計画を立てる上で自分のライフプランも考える必要があります。
FIREの設計行為はこうした「自分軸」をなくして作れないものゆえ、FIRE志向はますます他人や社会に左右されない自分らしさを作ることにつながると思います。
終わりに
以上、FIREを取り巻く嫉妬という考察からもいろいろと気づく点はあります。
FIREを目指すことは自分と向き合うことであって、他人と限られたパイを奪い合うゼロサムゲームではありません。
結果、そうした意味不明な「出る杭は打たれる」的な「共倒れ社会経済」に加担することなく、個人の幸せを追求できる手段だと思っています。
また、FIREについての情報やノウハウを相互に共有することはFIREでの失敗を避けたり、成功の確率を上げたりの相互扶助なるプラス面が多く、競争に偏重した日本社会に新しい価値観をもたらす存在を期待しています。
こうしたFIREの本質を理解し自分基準のFIREを目指す人に心から応援エールを送りたいと思っています。
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