リタイア後の生活は、お金を「いかに上手に使うか」が幸福度を左右します。
現役時代は「増やすこと」に意識が向きがちですが、リタイア後は「適切に取り崩し、活用すること」が重要になります。しかし、多くの人が「資産が減ること」の恐怖にとらわれ、結果、使えるお金を適切に使えずにいます。
僕もリタイアから1年はお金を思い切って使えず、節約習慣や給与収入が無くなったことへの心理的適応に原因があると思っていました。
ですがそれは完全には正しくなく、習慣や心理的適応といった「慣れ」より、「余裕資金と余剰資金の区分け」といった資産活用のラベリングが不十分だったと思っています。
今回、この「余裕資金と余剰資金の違い」をもとに「お金を最適に活かす実践方法」を綴ります。
「余裕資金」と「余剰資金」の違いとは?
両者の端的にいえば、
・余裕資金:生活に影響を与えずに使える資金(ただし減ると心理的ストレスを感じる)
・余剰資金:完全に余っていて仮にゼロになっても生活に影響がない資金
というものです。
一見、さほど違いがないと感じる方も多いかもしれませんが、それは現役世代で資産形成の途中だと尚更です。
現役世代の捉え方
「お金を増やすことがなにより大事」という現役時代の課題を前に、資産は「生活防衛資金」(=例えば1年ぐらい働けなくなっても暮らしていける資金)を超えた額を「余裕資金」とか「余剰資金」と区別なく漠然と捉え、とにかく投資にまわせば良いと考えていました。
生活防衛資金を超える金額は「投資の元銭」になるわけです。
リタイア世代の捉え方
一方で(アーリー)リタイア生活に入ると「資産を取り崩しながらいかに豊かな生活を実現するか」が課題になります。
僕の場合、「生活防衛資金」は「働かずにアーリーリタイア生活を送り続けるために必要な資金(=基礎生活費*)」との形に落ち着きました。
*基礎生活費は娯楽費を除外したエッセンシャルな生活費で健康的な食生活と健全な社会生活を送るに足りるものとの定義。
この資金を超えた分は明確に「余裕資金」と「余剰資金」に区別しています。
余裕資金は投資に充てますが、増えると嬉しく減ると不安で残念に感じる資金です。よって元本保証かそれに近いポートフォリオで運用し、そこからの資産所得を趣味や旅行等のゆとり費に充当しています。
その「余裕資金」」を超える(余暇を楽しむ生活費まで捻出できる投資元本以上)は「余剰資金」となり、余剰資金は自由に使っても、投資に回しても良いというものです。
ただし「単に持っているだけでは意味はなく機会損失になる」と感じる資金です。
これらを表にまとめるとこうなります。
終わりに
今回は簡単に余裕資金と余剰資金の違いについて綴りました。
リタイア目線では、資金は3つになり、
・生活防衛資金:リタイア生活を働かず、社会的に健全に、心身とも健康に過ごすために必要な資金
・余裕資金:趣味や旅行などゆとりある生活を送り続ける資金(余裕資金とその運用益)
・余剰資金:ゆとり以上の何か特別・個別の目的や機会開拓に使う資金(無くなっても良いが、使わないと機会損失=僕にとっては今の”自由投資予算”)
となっています。
余裕資金は「安全を確保した上で自由に使えるお金」で、余剰資金は「完全に余っているお金」ゆえリタイア生活でのゆとり費以外の自己投資や他者投資、体験への消費に充てないと機会損失になるものです。
リタイア生活が「資産を増やす」から「資産を有効活用する」と変化するので、こうしたお金の活用方法も「余裕資金」と「余剰資金」に境目を付け、お金を使う時の心理的影響やリスクコントロールをすることで、お金の役割を余さず発揮させるのです。
これが「心穏やかなリタイア生活」を実現しながら合理的で心理的に最強なる状態でお金を使える、そうした資金戦略になると思っていてシェアしましたが、皆さまの気づきや何かのお役に立てば幸いです。
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