老後の出口戦略は「いかに財産を家族に多く残すか」が世間では正解とされています。
ですが僕にとっての正解は、財産を多く残すことより、家族の経済的・精神的な安心と、自分の尊厳の維持だと考え始めています。
もし80歳を超えて長生きしていたら、思考力が落ち、投資も撤退し、資産は減り続けるかもしれません。
身体も動かず家族に負担がかかり「長生きされて困る」と、自分の尊厳を失うかもしれません。
そうした長生きリスクに対処するのが重要で、僕は「年金を長生きリスクへの保険と位置づけ、最大限活用する」を考えています。
今日はこの出口戦略としてイメージしている概要を綴ります。
長生きリスクとは
僕にとって最大の長生きリスクは、老齢期に、家族に多くの負担やストレスをかけたり、自分自身が尊厳をもって生きれない状態に陥ることです。
80歳や90歳になると判断力も衰え、身の回りのこともできなくなり、投資からは撤退し、せいぜい投資信託を使って資産を取り崩している程度だと思います。
すると、健康面では家族に負担をかけさせ、経済面では資産が減り続け、自分は何もできないなか、家族は「長生きされると困る」と思ってしまうかもしれません。
そうなると、自分は生きている価値がないと、尊厳を持てない状態になるかもしれません。
これが、僕が最も避けたい「長生きリスク」です。
だからこそ、僕は年金を「長生きリスクへの保険」として活用することを老後の出口戦略に考えています。
年金は「損得」が正しいのか?
年金というと、多くの人は「払った額より多く受け取らないと損」といった損得で考えています。
僕も当初はその発想で、「何歳から受け取れば得なのか」など、損益分岐の計算をしたりと、損得ばかり考えていました。
僕が独身のまま生きるなら、年金を繰上げし、資産運用でお金を増やし続け、いずれ施設に入る資金なり取り崩し資金の元手にするのもあるかもしれません。
ですが、バツイチとはいえ子供たちもいますし、伴侶もいたらなおさら自分1人でどうこうなるものでもありません。
老後の最終段階で、自分の資産運用の取り崩しだけで十分にやっていけるなら、それ以上の資産があっても残るだけです。
残るならば、資産種別の特性を活かして「公的年金は早々に貰うよりぎりぎりまで受給を遅らせ」るほうが、つまり「受給総額の損得よりも、作り出される価値」で判断したほうが良いということです。
公的年金の資産価値
その、公的年金の価値というのを具体的にいうと次の2つのケースで捉えて比較していま。
① 繰上げ受給による価値
老齢後期キャッシュフロー
=「少ない年金(繰上げ受給)+自己資産取崩し(投資信託等)」
② 繰り下げ受給による価値
老齢後期キャッシュフロー
=「多い年金(繰下げ受給)+自己資産取崩し(投資信託等)」
つまり、この選択では後者(②)は「家族と自分の幸福を守る安定したフロー収入がより多くなる」と思い、その価値をより大きいと感じています。
いずれも、いわゆる出口戦略としては「資産を大きくする(アセット志向)」というより、高齢期の最後の段階で「収入を大きくする(フロー志向)」とも言えます。
なぜなら、やはり資産の特性を区分したら、公的年金は「生涯キャッシュフロー」だという認識からくるものです。
この前提で老後の出口戦略の概要設計をしています。
僕の資産出口戦略(全体概要)
今の資産であれば、65歳で年金を受給しなくても生活していける状況にあります。
それゆえ早く年金を受け取る必要はなく、資産運用を活用しながら、最適なタイミングで年金を受給することを考えます。
もちろん健康、経済、家計、自分の家族状況などでの判断ですが、今の時点では、年金を資産形成の原資とせず繰下げを優先した出口戦略としていくつもりです。
世間でもDieWithMaxというように、資産は老後も増える傾向もあるからなおさらです。
70歳までの方針
① 70歳までは資産運用を続け収支均衡を目指す。② 個別株や分散ポートフォリオを運用し安全に資産を育てるフェーズ。
*お金は趣味や経験に使いながら年金に頼らない資産基盤や構成を準備していく
70歳以降の方針
① 70歳前後(状況次第)で分散ポートフォリオを整理統合
→ 投資信託数本にまとめる方向
② いずれかのタイミングで資産(投資信託)を定額または定率で取り崩す
③ 無理なく生活費を確保しながら増額された年金を受給開始する
*70歳まで待てば受給額は大きく増えるし、この時点から生活費も今よりは減る予測
この方法で、高齢期は資産運用から撤退しても資産が急激に減るリスクを回避し、経済的・精神的な安心感を確保する方針です。
終わりに
以上、やはり出口戦略として重視したいのは、お金を多く残すことよりも、家族の経済的・精神的に安心と、自分の尊厳の維持です。
そのために年金受給タイミングを戦略的に考えることが必要で、高齢期は資産(アセット)よりも収入(キャッシュフロー)を重視した資産状態に持っていくことで「長生きリスクに備える」のです。
こうすれば、万が一、80歳や90歳を超えて「生きているだけ」の状態となっても、家族にとって「長生きされては困る」と感じたり、自分も「生きる価値がない」と尊厳を失うこともありません。
僕にとってDieWithZeroというのは、こうしたお金の戦略的活用をもって、最後まで自分と家族の幸福を最大化することを優先したいと、思うようになりました。
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