FIRE(経済的自立と早期リタイア)を目指す人が増えるごとに「FIREは仕事からの逃避」という批判もよく聞くようになります。
ですが本当にそうでしょうか?
だってどうみても、FIREを目指す人は目の前の現実と真剣に向き合い、資産形成や支出管理を学び、お金の問題を解決しようとしているのです。
むしろ、「老後資金2000万円問題」などの記事を「煽りだ!」と反発し、自らは何ら手を打とうとしない方がよほど「逃避」だと思います。
今日はそんな「FIREを目指す人 vs 老後問題から逃げる人」について綴ります。
FIREを目指す人 vs お金の問題から逃げる人の違い
FIREを目指す人は「会社を辞める」という明確な目標を持つのでお金と向き合わざるを得ません。
お金と向き合うというのは、
・生活費を把握したり収支を改善する
・投資・節約・税金などの金融知識を身につける
・長期的なリスク管理を考えて適切に備える
ということです。
こうしたプロセスを長く経るうちに、資産形成ができるだけでなく、FIRE達成後も崩らないだけの「お金の管理」が心底身につきます。
結果、お金の問題からは解放されることになります。
もちろん、仕事を辞めることを目標にせずとも、経済的自立を目指すことでもこうした習慣は身につきます。
一方で問題となるのは、老後資金2000万円(最近は5000万円ともありますが)などの記事に「煽りだ!」と反発するだけで、自ら老後について掘り下げたり考えたりしない人です。
老後問題を「煽りだ!」と反発する人のパターン
「老後資金2000万円」はあくまでも標準的なケースを想定した例示であって、家族構成や持家の有無、居住する地域や生活レベルで異なります。
こうした考え方を自分に当てはめて試算することが大事であるにもかかわらず、記事に対して頭から「煽りだ!」と反発する人は、実は4つのパターンに分類されます。
どれも傾向の違いはあれど「重要な問題から逃げている」というものです。
①「現実逃避型」— 問題を直視したくない人
「老後なんてまだ先の話」と思い、今考えても仕方ないと感じたり「なんとかなるだろう」と根拠なく楽観的だったりします。それゆえ「老後は〇〇万円必要」と聞いても「どうせ無理」「俺には関係ない」と決めつけたり、周囲も何もしていないから自分も大丈夫だと考えているパターンです。
②「被害者意識型」— 社会やメディアを疑いすぎる人
これは最近のメディアに罪がりますが、メディアへの不信から「メディアが不安を煽ってやがる」と、発信そのものに懐疑的です。
そして「どうせ老後問題なんて金融機関が儲けたいだけの煽りだ」と批判し現実を受け入れようとしないパターンです。
③「無力感型」— そもそも貯められる気がしない人
老後資金が数千万円という情報に触れた途端に「そんな大金をどうやって貯めろっていうんだ!」といった諦めモードの人もいます。「どうせ頑張っても無理」という無力感で行動に移すことを諦めたり、「どうせ富裕層向けの話でしょ!」と反発することで不安を打ち消そうとするのです。
④「現在満足型」— 今が楽しいから将来を考えない人
また、今が楽しくて充実しているから「将来のことは考えたくない」という人もいます。老後問題を考えるのは気が滅入ると避け、「今を楽しんだほうがいい」と貯金や投資に興味を持たないパターンです。FIREは「逃避」ではなく現実的な選択
こうしてみると、やはりFIREを目指して計画的に資産形成をする生き方は、老後問題から逃避する人たち(上記の4つのパターンなど)よりも建設的だと思います。
たとえ「仕事が嫌だ」というきっかけであっても、仕事を辞めても生きていけるように考えて準備を進める方が、よほど老後問題から逃げるよりも健全です。
それが「FIREは逃避だ」と批判するのが的外れだと思う理由です。
もちろん、FIRE批判の多くは「仕事に幸せを見出すことが重要だ」というメッセージの場合もあり、僕もその点は賛成です。
ただ、幸せを見い出す先が仕事ではなくもっと別のものであっても良いわけで、FIRE批判は「仕事を辞める=社会からの脱落」といったビジネス中心の価値観の押し付けから来るようではいかがなものかと思えてしまいます。
それよりも自分の将来設計や老後問題から目を背けることの方が問題としてはより深刻だと感じます。
終わりに
以上、今回は「FIRE批判は的外れ」といった観点で書きましたが、やはりFIREの良い点は、
・たとえ動機が「今の仕事の辛さから逃げたい」というものでもFIREを意識しお金と向き合う行為は重要
・結果的に、金融リテラシーを培い、老後資金への計画的な対処もできる
・「煽りだ!」と反発して何もしない人よりも将来リスクへの対処ができている
ということです。
FIREのきっかけがブラック企業から抜け出たい等、もしかしたら大変な状況にいる方も、実は長い目で見れば、「将来のお金の問題」から逃げ続ける人よりも得られるものが大きいとは思います。
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