資産1億円・年金23万~不安でお金を使えない?

2025-03-29

アーリーリタイア生活 お金

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「1億円以上の資産を持っているのに不安でお金を使えない」という年金生活者(田中さん;仮名・75歳)の記事がありました。

確かに資産が十分にあっても「将来が不安だから」とお金を使えない人は少なくありません。

これはいわば、老後にお金を使いきれずに最大資産を残したまま死んでしまう「Die With Max」なる問題です。

この悩みに対してファイナンシャルプランナー(FP)は、「自分の価値観と向き合い、老後の人生を明確にすることが大切だ」と述べています。

一見、その通りにみえる解決策ですが、僕は大きな違和感があったので、今日はその点(お金を使えない問題)をこの記事から掘り下げたいと思います。

記事の概要

記事では、

現役時代に堅実な生活を続け、資産を築き、退職時の金融資産は1億円を超え、住宅ローンも完済。年金も夫婦合わせて月23万円・・。お金は十分にあるのにお金を使えないと悩んでいたのです。原因は「資産が減ることへの恐怖」でした。

ということで、これはFIRE民にある(僕にも起こった)「資産が減る恐怖」というものと同じです。

田中さんは65歳~75歳までほとんど資産が減らなかったそうです。

その原因は、

リタイア後は特にシビアに家計管理を行っており・・先行きが見えない老後の生活を心配するあまり、お金を使うことに罪悪感を覚え・・資産が減ることを極度に恐れていました。
と、お金は管理できても使うことに「罪悪感」があるようです。

出典:私、お金が使えないんです…資産1億円・年金月23万円・住宅ローン完済で“あり余る資産”を持つ75歳男性。老後不安とは無縁に見えるが「周囲に理解されない深刻な悩み」に苛まれるワケ【CFPの助言】

FPからの助言

この状態に対してFPからの助言は、

①今後、何歳でどのようなお金が必要になるかを把握し、逆算して、今いくらお金を使ってもよいかを明確にすること(ライフプラン)、

自分が望む人生を具体的に思い描き、いつ、何のお金を準備すれば良いかに沿って金融商品を選び、資産が減るスピードを抑えれば良い(資産計画)

となっています。

そして、

自分が望む人生は何か、そのためにいくら必要なのか、最大限それを実現するためにはどのように資金を管理し、運用していけばよいのか。自分の人生や価値観と向き合い、お金の使い方を考えていきましょう。

と結論を述べています。

確かに的確で正当な助言と思いますが、お金を使うことに対する心理的な障壁については触れられていません。

つまり、「いくらお金が使えるか」を財務的に明らかにするだけでは実際にお金を使えるようにはなりません。

お金の使い方の問題ではなく、楽しみ方の問題

この問題を解くには、心の問題として扱い、習慣で変える方法が有効です。

例えば、老後に資産1億円があったとしても、毎日の生活が単調で「何をしたら楽しいのか」がわからなければ、お金を使う理由も見つかるわけありません。

この状態でFPのアドバイスにある「お金との向き合え、価値観を整理しろ」といっても効果は小さいはずです。

だって、そもそも人生の楽しみが見つからない人が、自分の価値観といくら向き合ったところで、急にお金を使いたくなるはずはありません。

むしろ「向き合う」ことでお金の不安が強く意識され、結果的に、支出を抑える方向に進んでしまうのが自然です。人間は不確実な未来に対して、リスクを過大評価する傾向があるからです。

それゆえ、この問題解決に必要なのは「お金を使って得られる楽しみ」に意識を向けることです。

問題の構造と解決策

お金を使えない問題の構造は、次のようなトレードオフで偏りがあるからです。

(漠然とした老後の不安)vs(老後の楽しい消費生活)

田中さんの場合は左軸の「不安」がアンバランスに大きくなって「不安>消費」となっています。

FIRE民も同様に、資産を守ることに意識が向きすぎて、お金を使うことに罪悪感を持ちがちです。田中さんも「長年の節約生活」を経て根っから節約が染みついているので「老後10年で資産が減らない」となったのです。

ゆえに左軸ばかり注視し「自分の価値観と向き合え、整理しろ」と迫っても、田中さんの「お金を使えない価値観」は形成済みで、内部の変化は起きようがありません。

解決に必要なのは右軸の、自分の外部にある「老後の楽しい消費生活」という情報を集めることや、小さな消費体験の積み重ねです。

同世代の人のお金の使い道やお金を使う楽しみを知ったり、共に過ごしたりといった情報収集や体験でこそ変化を起こせます。

そして、「不安<楽しみ」となれば、このDie With Maxの問題は自然解決されます。

僕の解決方法

実際、僕もFIRE後、なかなかお金を使うことができませんでした。

ですがリタイア生活で「お金を使う実験」をしてこの問題は自然に解決されました。

実験は、支出をあえてコントロールせず 「やりたいことをやり尽くす」というものです。

例えば、旅行、新しい趣味(主にスポーツ)、習い事(語学学校、料理、写真教室等)、資格取得などにお金を使いました。

服やらブランド品へ浪費するのとは違って、こうした支出は時間もエネルギーもかかります

結果、家計支出は増え、その構成は「生活に不可欠な支出(基礎生活費)が43%」、「旅行や趣味等の支出(ゆとり費)が57%」といった比率となりました。

つまり、リタイア後はゆとり系の支出を増やし、ゆとり費が50%以上を占める状態が、自分の時間活用として満足度がベストとわかりました。

生活費を目いっぱい使う支出実験のまとめ

もちろん、実験以前に「お金と徹底的に向き合う」もしています。

FIRE直後のお金の不安に対し、 3つのアクションとして、①資産推移と資産構成の可視化、②最悪シナリオのシミュレーション、③現預金比率の最適化、をしました。

それによって「お金の不安」は削減されました。

こうして、お金を使う習慣の増加(右軸)と、お金を使う不安の解消(左軸)で、「不安<楽しみ」とバランスが逆転しました。

FIRE3年後の変化:⑤お金の向き合い方が変わった

終わりに

以上、「お金を使えない不安」は必ずしも「お金の問題」ではなく「楽しみの不足」に起因するので、いくらお金の価値観と向き合っても、変化や変革は起こせず、かえってお金の不安が増大します。

なので「Die With Max」なる問題を解くには、長年の節約生活や長期投資で資産形成したマインド変革が必要で、あえて人生を楽しんでいる人と関わったり、自分より資産を多く持つ友人と共に過ごし、お金を使う機会を作ることも有効でした。

こうした、「人生の楽しみ方」をあえて強く意識し、心理的・習慣的な対処方法を取れば、自然と解決の糸口が見えてくると思っています。


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自己紹介

2022年3末に完全リタイア。FIREの自由で創る”自分らしいセカンドライフ” としてFIRE-Driven Lifestyle Innovationをテーマに、日々の気づきや経験を発信して精神的に豊かなFIREを応援します。
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